ビットコイン相場
13日の暗号資産(仮想通貨)市場。
ビットコイン(BTC)価格は、前日比+1.9%の668万円(60,740ドル)に。
58,000〜60,000ドル台で揉み合いつつも下げ渋っており、過去最高値の61,800ドルを再び射程圏内に納めている。
コインベース上場直前
2012年創業の米最大手取引所コインベース(Coinbase Global, Inc.)の株式上場が、14日に迫っている。仮想通貨のティッカーシンボルにあたる証券コードは「COIN」だ。
ダイレクト・リスティング(直接上場)形式でNASDAQへの株式上場を果たす。直接上場は、上場時に新株を発行せず既存の株式を直接公開するもので、新株を引き受ける証券会社等を利用しないことから、コスト大幅削減や時間短縮に繋がるメリットがあるという。
コインベースは上場に先立ち、6日には21年1Q(1〜3月)決算情報を先行開示した。1Q収益は、前年同期比+900%の約18億ドル(約1975億円)。当期純利益は7.3億ドル(約800億円)〜8億ドル(約878億円)に達した。
口座開設数5600万、月間取引ユーザー数は600万超に及び、預かり資産額は、仮想通貨総量の11.3%に相当する2230億ドルに上る。
The Blockは今年2月、事前取引される「Nasdaq Private Market」にて、米コインベースの1株平均が373ドルとなり、推定時価総額が一時1000億ドル(約11兆円)に達したことを報じた。
Private Marketの限定市場では、取引開始時(1月29日時点)の評価額は200ドルだったが、ビットコインなど仮想通貨の高騰に伴い買いが集まった。最終的な1株平均で試算されたコインベースの時価総額は、約680億ドル(7.5兆円)とされる。
なお、cryptobriefingが報じたところによれば、大手デリバティブ取引所FTXのトークン化されたコインベース株式売買では、時価総額1,400億ドルで取引されている。
この値は、米ニューヨーク証券取引所(NYSE)の時価総額の2倍、米NASDAQの時価総額の6倍に相当するという。
21年1Qの業績試算では予想株価収益率(PER)90〜120に相当するとされるが、これはNASDAQのPER25〜30、PayPalのPER75を大幅に上回る計算となり、割高感から過大評価との指摘も少なくない。
一方、主に手数料収益に関するコインベースの利益率は高く、NASDAQの約4倍に達するほか、グレースケールの提供する「ビットコイン投資信託(GBTC)」同様、株式市場を通じた仮想通貨へのエクスポージャー拡大需要は根強く、ビットコインなど仮想通貨市場への期待から、「伝統金融市場のゲームチェンジャーになり得る」との思惑が働いている。
思惑先行の背景には、金融系大手の参入が相次いでいることも挙げられる。
3月24日には、米フィデリティが「ビットコインETF(Wise Origin Bitcoin ETF)」の目論見書をSEC(米証券取引委員会)に提出したほか、3月31日にはゴールドマン・サックスがビットコイン先物のトレーディングデスク再開計画が伝わった。4月1日には、資産運用最大手BlackRock(ブラックロック)が、ファンドを通してビットコイン先物取引を開始したことが判明している。
先行指標化するコインベースの大口売買
なお、11日には、米コインベースから12,677BTC(約840億円)のビットコインが引き出されたことがGlassnodeのデータで明らかになった。1日にも約12,000BTC(約800億円)が引き出されたばかりだった。
取引所からの大口出金は、中・長期保有を見据えたカストディウォレットなどへの資金移動が示唆されることから、売り圧の低下につながると見られる。
コインベースProでは、ビットコインを大量購入したマイクロストラテジーやテスラが、SOR注文(スマートオーダールーティング)や自動化取引ツールなどの手法を用いて、市場価格に影響が出ないよう大量に買い集めていた可能性があることも判明している。
仮想通貨関連企業の株式上場は、今後も世界的に続くものと見られる。
海外ではマイニング関連大手のビットメイン(Bitmain)が株式上場を目指すほか、国内では大手取引所コインチェックが株式上場を目指しており、今回の事例は試金石となりそうだ。
個別銘柄の動向
過去最高値を更新する時価総額3位のバイナンスコイン(BNB)が、一時前日比20%高を超えるなど大幅続伸。600ドルを上回る局面があった。DeFi(分散型金融)の市場規模拡大を背景にプレゼンスを強めている。
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