ビットコイン相場
週明け11日の暗号資産(仮想通貨)市場。ビットコイン(BTC)価格は59,650ドルと高値圏まで持ち直した。
8日に一時55,000ドル台まで下落したBTCであったが、10日までに急速に切り返し、過去最高値の61,200ドルに迫る水準まで急騰する場面もあった。
オンチェーンデータ分析
データ分析企業Glassnode(@glassnode)の共同創業者、Rafael Schultze-Kraft(@n3ocortex)氏が、BTC価格が過去最高値の5万ドル水準(約6万ドル)を超えているにも関わらず、独自インジケーター「Coin Days Destroyed(CDD)」の3ヶ月平均値が下落傾向かつ低水準にあると指摘した。
3年前の仮想通貨バブルや2014年の天井付近では、CDDがピークに達していた。「CDD」とは、長期間使用されてないビットコインなどの仮想通貨に対し、より多くの重みを与える経済活動の尺度のこと。最後に使用された日を記録し、新たに動かされればリセットされるため、機関投資家のスマートマネーや大口投資家(クジラ)の支出行動を観察するためのデータとして役立つものだ。
CDDの上昇は、長期ホルダーが保有する大量のコインを売りに出している可能性を意味するとされる。何年も動かされていない”休眠状態”のビットコインが目を覚ますことで、市場の売り圧力となり得るため、これが続けば「天井シグナル」のひとつと言える。
これに対し、CDDの持続的な低下は、「強気トレンド」の継続を見込んだ長期保有者の自信の表れを示唆している。
過去のデータからは、CDD「500万/日」未満は毎日の平均的なベースライントラフィックであるが、CDD「2000万/日」を超えるのは歴史的にも稀であり、ビットコインの急騰・急落局面など、ボラティリティ(価格変動性)の急上昇時に発生する場合があることが伺える。直近のビットコイン高騰局面では、このCDDが下落傾向にあるという。
個別銘柄の動向
前週はメジャーアルトが軒並み強く、11日にはXRP(リップル)が一時160円台まで高騰した。
米SECがRipple社に対し提訴した「未登録証券問題」において、規制に準拠せざるを得ない米国内での上場廃止や提携解消事例が相次ぎ、昨年末〜年初にかけてXRP価格が暴落していたことや、先日の裁判では一部審議においてはRipple社優勢の観測もみられたから、悪材料出尽くしとみる向きがある。
ホルダーが一巡したことによるアク抜け感が出ており、出遅れ銘柄への買いが集まった。今後も、XRPの再上場事例や関連プロダクトによるユースケースの拡大、裁判の進展(和解の可能性)に焦点が当てられることになりそうだ。
ただし、思惑先行の節も否めず、今後の裁判審議で劣勢に立たされたり、和解交渉が難航した場合のリスクも十分考えられる点には留意したい。
海外のラージキャップでは、時価総額3位のバイナンスコイン(BNB)の高騰が止まらない。前週比49%高の520ドルまで続伸し、年初来900%の上昇を記録した。
上昇の背景は、ネットワーク手数料の高騰に悩まされるイーサリアムチェーンの代替手段として、ネットワーク手数料が安価なバイナンススマートチェーン(BSC)、及びBEP-20トークンが台頭したことにある。分散型金融(DeFi)の市場規模が膨れ上がる中、BSC基盤DEXの「PancakeSwap」は、模倣先となったETH基盤DEXの代名詞である「UniSwap」と双璧を成すところまで成長した。
PancakeSwapトークンの「CAKE」自体が、前月比130%高、前日比12%高の25ドルを超えるなど、過去最高値を更新するまで高騰していることに加え、流動性マイニングを行うためにプールに預け入れるためにはBNBの通貨ペアが必要となることから、需給面でも大きな優位性を得ている。CAKEの時価総額は、39位まで浮上している。
独自IEOプラットフォームの「Binance Launchpad」のトークンセールで、期間中のBNB平均保有量が新たに上場する通貨購入のコミット権などを得ることからも需要増に拍車をかけた。直近では、Tokocrypto(TKO)のトークンセールに向けBNBに買いが集まり、価格を押し上げている。
バイナンスコインは一定期間ごとにバーン(焼却)することでその希少性を担保する仕組みを整えており、本格的なアルトシーズンが訪れる中、世界最大手取引所として確固たる地位を築き上げたバイナンス自体の成長性と将来性も期待を後押ししているものと思われる。
BNBのドミナンス(市場占有率)も上昇傾向で、12日時点では3.92%まで上昇した。アルトシーズンでBTCドミナンスが低下傾向にある中、主要アルトが騰勢を強めている。