新通貨FEI、急落
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)で約1400億円の資金調達に成功したステーブルコインプロジェクト「Fei Protocol」の価格が、ローンチ後に急落したことがわかった。
Fei Protocolは、ステーブルコインプロジェクトとしては、過去最大規模の資金調達。米コインベースやAndreessen Horowitzなど大手企業から出資を募っていた。
Feiは、DeFi(分散型金融)プロトコルでの活用をメインに開発された新たなステーブルコインだ。独自のインセンティブ設計により、ETH/USD建価格との連動を目指すシステムを導入していた。
その仕組みは、Fei価格が「米ドル価格=1ドル」より低い時に売るとペナルティーが発生、買うユーザーは報酬が貰えるというもので、価格乖離しても理論上1ドルに戻りやすくなる。Fei価格と1ドルの乖離が大きくなれば、ペナルティー額も大きくなる。
急落の経緯
プロジェクトは、4月4日に資金調達を完了、約13億ドル(約1400億円)に相当する639,000 ETHを募った。調達資金はプラットフォームが管理する形となる。
Fei Protocol Genesis has officially ended! Thank you to everyone who contributed to a successful Genesis period in bootstrapping the $FEI stablecoin and $TRIBE governance token 🌲
Lets recap ➡️
— Fei Labs (@feiprotocol) April 3, 2021
しかし、ローンチ直後からFei価格が急落し、一時0.73ドルに。イーサリアムで出資したユーザーがFeiを売ろうとしてもペナルティーが大き過ぎて売れない状況となり、さらに価格が下がる悪循環に陥った。
これを受け、プロジェクト側は7日、「インセンティブの算出プロセスで脆弱性が発見された」と報告。一時的に報酬のミンティング(鋳造)を停止する方針を発表した。
🚨 We have patched a vulnerability found in the incentive calculation of Fei:
➡️ We are shutting down all minting rewards on FEI
➡️ Trades will go through as normal
➡️ The burn will still be applied
➡️ We are working on a fix to turn rewards back onMore information to come
— Fei Labs (@feiprotocol) April 6, 2021
しかし、ペナルティーを停止しなかったことが裏目に出てFei価格は続落。Fei Labsは8日に入ってようやくFei売りのペナルティーを停止した。
Turning off the burn incentive will also release the sell pressure on FEI using PCV and help restore the peg. Additional proposals can further leverage PCV towards this goal.
This process will help create a community of people who are committed to the Tribe. pic.twitter.com/4vnNN8ReeB
— Fei Labs (@feiprotocol) April 7, 2021
DeFi活動に特化した興味深いアプローチを試した新ステーブルコインFei。本来1.0ドル水準で安定しなければならない米ドルペッグの「ステーブルコイン」としては出鼻を挫かれる形となったが、調達資金の規模から注目の高さは垣間見れる。
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用