ブロックチェーンで株取引の同日決済に成功
ステーブルコインの発行などを行うブロックチェーン企業Paxosは6日、米国市場の株取引で同日決済のテストに成功したことを発表した。
従来のシステムで同日決済を行うには午前11時にまでに取引を完了させる必要があったが、午後3時の取引でも同日の午後4時30分に決済を完了。これは1日を通して、その日に行われた株取引を同日に決済できるようになることを意味する。決済までの時間を短縮できれば流動性が向上し、リスクの軽減にもつながる。
Paxosはビットライセンスを所有する米国企業。昨年に暗号資産(仮想通貨)サービスを開始した決済大手PayPalのサポートも行っている。昨年には国法銀行の設立に向け、米通貨監督庁(OCCに)申請書を提出した。
ビットライセンス(BitLicense)とは
米国ニューヨーク州内における仮想通貨取引交換業を可能にする事業ライセンス。2015年からニューヨーク州の金融サービス局(Department of Financial Services)が発行している。
今回決済に利用したソリューションは、許可型のブロックチェーンを基盤にした「Paxos Settlement Service」。取引を行なったのは、野村グループのインスティネットと金融サービス企業Credit Suisseだ。この2社が参加して有価証券取引の決済を即座に行う取り組みは昨年から実施されてきた。
これまで1年以上取引の決済を処理してきたが、それは売買が成立した日から起算して3営業日目に決済が行われるという標準的な時間枠「T+2」で行われている。今回はそれを同日で行うことに成功し、同じ日に決済を完了する「T+0」を実現できることを証明した格好だ。
PaxosのCharles Cascarilla最高経営責任者(CEO)は「米国の株取引の決済は不透明な部分があり、不必要な処理時間を短縮して、コストを削減する必要がある」と問題点を指摘。「新たな決済システムは、より安全で公平な開かれた資本市場を作り、イノベーションを促進することが可能だ」と自信を見せた。
今後の計画
Paxos Settlement Serviceは、有価証券取引の決済が二者間で直接行える仕組みになっており、従来の清算システムと互換性がある。
Paxosは米証券取引委員会(SEC)から「No-Action Letter」を受け、ブロックチェーンを基にした新たな決済サービスの実証実験を行う許可を得ているが、これから清算機関としての登録を申請する予定。
2021年には登録を完了したいとしており、清算機関の認可が得られれば、T+2からT+0の範囲で柔軟性のある決済サービスを業界に提供していくと述べている。
同日決済については、これから負荷テストなどを行い、より多くの企業が参加できるように計画を推進していくという。
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