元SEC責任者、コインベースの規制対応をサポート
米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースが、米証券取引委員会(SEC)の取引・市場部門責任者を務めていたBrett Redfearn氏を資本市場製品担当VP(重役)として雇用することを明らかにした。
ブルームバーグの報道によればコインベースは4月の上場を目指して動いており、重要なタイミングでの発表となった。
Redfearn氏の主な役目は、デジタル証券や仮想通貨取引プラットフォームなどの仮想通貨資本市場について、構想・戦略決定を行い規制対応をサポートすることである。
Redfearn氏はSECで、取引所、ブローカーディーラー、清算機関、送金エージェントの規制を担当しており、250人以上の専門職員を率いていた。
SECの前にはJPモルガンに勤務し、グローバルマーケット、市場構造戦略、アルゴリズム取引、流動性商品など様々な分野で責任者を歴任している。
コインベースは、市場、規制、電子取引に関する同氏の幅広い専門知識は、新しい職務を行う上で理想的だと説明した。
Redfearn氏はSECで、ICO(イニシャルコインオファリング)の取締りにも関わっていたことがあると話している。
初期のトークン開発者の中には、そのトークンが規制対象の証券とみなされることに気付いていない者も多くいたという。それでもトークン発行元や市場参加者が規制面で適切に対応できれば、デジタル資産分野には大きな可能性があるとしてRedfearn氏は次のように語った。
証券法に100%準拠しながら新たな効率性を市場に生み出し、投資プロセスを民主化するエコシステムの構築を助けたい。
現在の流通市場は非常に複雑で、平等なアクセスがすべての参加者に用意されているわけではないとRedfearn氏は指摘。ブロックチェーンなどでデジタル化された取引エコシステムが市場をより公平にすることで、市場の流動性が向上することにもつながるとした。
規制が明確化されることを期待
Redfearn氏は、規制が整備されることで、現在の環境はデジタル資産の発展を後押しするものになってきていると主張する。
バイデン大統領が、SECの新長官としてGary Gensler氏を指名したことにも言及。Gensler氏は元銀行家でマサチューセッツ工科大学(MIT)においてブロックチェーン、デジタル通貨、フィンテックなどについて教えていた人物だ。もし就任が承認されれば、仮想通貨業界によい影響を与えるのではないかと期待されている。
Redfearn氏は「様々なデジタル資産について非常に精通した」Gensler氏が新長官に就任した場合、規制をより明確化することに貢献するのではないかと推測した。
さらに、機関投資家や伝統的な証券会社なども、ブロックチェーンテクノロジーを用いた市場において、将来重要な役割を果たす可能性があるとも意見している。
コインベースは2020年に大手仮想通貨ブローカーTagomiを買収しており、機関投資家の顧客獲得にも注力している状況だ。
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用