1.4億ドルのビットコインファンド
NY州の仮想通貨事業者許認可「ビットライセンス」考案者の関連する投資ファンド「New York Digital Investment Group(NYDIG)」が、1.4億ドル規模のビットコインファンドを立ち上げた。SEC(米国証券取引委員会)への書類ファイリングで判明した。
「ビットライセンス」の考案者であるBen Lawskyは、2011年〜2015年の間ニューヨーク州金融サービス局の初代保険監督官を務め、14年にビットライセンスの規制基準を導入。
任期中、複数の金融機関の違法行為に対して計60億ドルの罰金を課していたことで、「ウォール街の番人(保安官)」とも呼ばれていた。
ビットライセンス(BitLicense)とは
米国ニューヨーク州内における仮想通貨取引交換業を可能にする事業ライセンス。2015年からニューヨーク州の金融サービス局(Department of Financial Services)が発行している。
元番人とビットコインファンドの関係性
SECの書類によると、NYDIGはビットコイン半減期直前の5月5日に、総額1.4億ドルのビットコインファンドを販売開始。
NYDIGは、2018年にビットライセンスを取得した企業だ。当時、NYDIG Bitcoin Yield Enhancement Fund LPという旧称で運営し、「ビットコイン戦略ファンド」という別の商品で、大手資産運用アドバイザー企業ストーン・リッジ・アセット・マネジメントに相談していた。「ビットコイン戦略ファンド」は差金決済のビットコイン先物を運用するファンドである。
Lawskyは公務員引退後、「Lawsky Group」という規制コンサル企業を立ち上げた。また、ストーン・リッジの規制関係責任者としても務めていることが判明した。フォーブス誌によると、Lawskyはストーン・リッジとNYDIGの関係で、NYDIGの規制関連業務(ビットライセンスの取得手続き等)についても法的知見を提供したという。
さらに、2019年10月にストーン・リッジは上述の「ビットコイン戦略ファンド」の目論見書をSECに提出し、ファンドのブローカーとして販売することを表明した。
今回の1.4億ドルのファンドもストーン・リッジに関わっているかは明確ではないが、2018年の書類では、ストーン・リッジの共同創設者はNYDIG Execution LLCのCEOとして掲載されている。
なおNYDIGはファンドだけでなく、ビットコイン・イーサリアム・XRP・ビットコインキャッシュのカストディサービス、OTCデスクも提供している。
以上の経緯を見ると、NYDIGはウォール街の大手アドバイザー企業および規制当局の元監督官とも接点が濃い。
直近、ヘッジファンドのベテラン ポール・ジョーンズが個人ポートフォリオおよび運営するファンドにビットコイン先物を取り入れる動きや、大手ヘッッジファンド ルネッサンス・テクノロジーズがビットコイン先物の取り入れを許可したといった報道など、ウォール街には投資トレンドの異変が見られている。半減期後に生産デフレになったビットコインが今後伝統金融における役割がどう変化していくか見物だ。
参考:フォーブス報道
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