BitMEX元CEO、訴訟後の沈黙を破る
大手暗号資産(仮想通貨)デリバティブ取引所BitMEXの元CEOアーサー・ヘイズ氏が19日に数ヶ月ぶりにSNSに浮上し、直近のロビンフッドの動向やビットコイン(BTC)などの仮想通貨がもたらすメリットなどについて語った。
昨年10月初旬、米司法省(DOJ)と米商品先物取引委員会(CFTC)により、BitMEXは銀行秘密法(BSA)違反で告発されていた。KYC(本人確認)や資金洗浄対策(AML)に不備があったとされる。
騒動の影響で、当時CEOだったヘイズ氏をはじめとする幹部らが多数辞任に追い込まれる事態となっていた。
界隈からも有識者として定評のあったヘイズ氏であったが、CEO退任以降、数ヶ月間消息を絶っていた。今回久しぶりに姿を現し、米国で物議を醸す投資アプリ「ロビンフッド」の動向について見解を述べた。
ゲームストップ騒動を解説
腕の立つトレーダーとしても知られるヘイズ氏は、ゲームストップやAMCなどテンバガー(10倍株)化した「ミーム株」などに惹かれ、1月28日のGME株を購入したいという衝動を抑えることができなかったと告白。
ロビンフッドなどのブローカー事業は、1日ごとにマージンなどのコストを米国の証券保管振替機構(日本のほふりに相当する)DTCCや証券決算機関のNSCCなどに資金を預ける必要があるが、大手SNSサイトのReddit上でゲームストップなどの銘柄に関する投稿が活発に行われていたことから、個人投資家からの取引需要(≠出来高)が急増。
その結果、ロビンフッド側はDTCCやNSCCなどに40億ドル(約4200億円)相当の巨額な資金を預ける必要が生じた為、「ミーム株」と称される銘柄などで取引制限が掛かる事態になったと解説した。
ヘイズ氏は音声型SNSクラブハウスの情報を元に、「ゲームストップなど出来高が急増していた銘柄の取引を制限する代わりに、ロビンフッド側が上記の決算機関に支払う額は7億ドル(約740億円)まで減少。ウォール街やシリコンバレーのVC(ベンチャーキャピタル)企業などから追加出資が必要だったものの、支払可能な額まで下げることができた」と説明した。
一連の流れで、金融市場の格差などが浮き彫りとなり、金融業界から政界まで、米国の社会問題にまで発展していた。
ヘイズ氏は、「(このような構図が必然的に生じる)金融業界の構造は、簡単には変わらない」と述べた上で、問題提起をする為には「オプトアウトする必要がある」と持論を展開。伝統金融業界に代わるものとして、オープンソースな技術をもとにした「暗号資本市場」の利点を語った。
暗号資本市場には、高いボラティリティなどのリスクがある一方で、インターネットがあれば誰でもアクセス可能であること、コロナ禍でも収入を得る手段となり得る点、貧富の差や経歴ではなく自身の行動に責任が伴うことなどをメリットとして挙げた。
今回投稿されたブログ内では、昨年の訴訟問題や、ヘイズ氏自身の去就について詳しい言及はなかったものの、今後も伝統的な金融市場と仮想通貨市場の相違点についてブログで解説していく方針を明らかにしている。
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