テキサス州を襲った寒波の影響
米国テキサス州が猛烈な寒波に見舞われ、現地時間16日時点で、400万件以上に及ぶ大規模な停電が発生している。気温が氷点下に落ち込み暖房用の電力需要が急増する中、寒波の影響で機能不全に陥った発電所施設の稼働が停止するなど、悪条件が重なった。
独立系システム運営機関であるテキサス電気信頼性評議会(ERCOT)は、需給バランスを維持するため、関係事業者に計画停電の実施を指示した。テキサス州は非常事態を宣言している。
テキサス州に拠点を置く暗号資産(仮想通貨)のマイニングファームも影響を受けているようだ。
米メディアCoindeskの報道によると、ビットコイン(BTC)マイニングのスタートアップ「Luxor Technologies」が運営するマイニングプールでは、ハッシュレートが40%低下しているという。同社のマイニングプールのハッシュレートの大部分が米国のマイニングファームによるものだと、共同創業者Ethan Vera氏は説明した。
未使用の電力を販売
一方、テキサス州の仮想通貨マイニング企業「MiningStore」のJohn Paul Baric CEOは、ビットコインマイナーの中には、使用していない電力を売り戻すことで、大きな利益をあげた者もいるとツイート。転んでもただでは起きない気概を感じさせる。
その背景には、高まる電力需要を受けて、電力価格が高騰している状況がある。米Financial Timesによると、卸売電力の先渡し価格は、一時、1メガワット時(MWh)9,000ドルと、平均価格25ドルを数百倍上回ったという。
テキサス州の発電源状況
テキサス州の地元紙Austin American―Statesmanによると、同州の送電網は様々なエネルギー源を利用しているが、2020年のデータは次のような割合になっている。
- 天然ガス:40%
- 風力:23%
- 石炭:18%
- 原子力:11%
- 太陽光:2%
2019年のデータでは全米の風力発電の割合は7.3%で、テキサス州における風力発電の割合が非常に高いことがわかる。11日から発生した寒波の影響で、風力タービンが凍結して停止し、火力発電所に供給される天然ガスも不足したため、先週末の時点で一部の発電能力は既に低下していたという。
また、風力発電だけではなく、原子力発電や火力発電など、燃料源を問わず、発電機能が低下し送電網への供給が滞る事態が発生したと、ERCOTは声明を出している。
再生可能エネルギー源への急速な転換を懸念する声も上がる一方で、異常気象を想定に入れた米国全体の送電インフラへの大規模な投資が必要だと、米技術系メディア、Tech Crunchは訴えている。
分散型ネットワーク
テキサス州の大規模な停電だが、世界のビットコインネットワークへの影響は特に報告されていないようだ。
世界を見渡すと、常にどこかしらで極端な天候や地震などの自然災害は発生している。中央集権的なシステムであれば、大きな打撃を受けその影響が広範囲に広がるような状況でも、国や地域を超えた分散型ネットワークであれば、被害や影響を最小限に止めることが可能だと考えられる。
ビットコイン価格の高騰もあり、北米をはじめ世界各地でマイニング事業への投資も高まりを見せている。中国に集中していたマイニングが、徐々に世界へ分散される流れが生まれており、今後、世界的な分散型ネットワークが強化されることで、ビットコイン普及の一助となるのではないだろうか。
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