アーダーを活用したTarascaプロジェクト
スケーラビリティ向上に特化したブロックチェーンプロジェクト、アーダー(Ardor)のエコシステム内に構築されたゲームプラットフォーム「Tarasca」が、自身の主要プロダクトの開発および販売計画を発表した。
Tarascaは現在、コレクタブル(収集系)ゲーム「Mythical Beings(直訳:伝説上の生物)」、および現実世界で利用される物理的なボードゲームの開発を行っている。Tarascaによると、Mythical Beingsでは現在、内部の最終テストが実施されている。内部テストが終了し次第、約2週間後を目処にアーダーコミュニティへ公開。その後15日間にわたってコミュニティによるパブリックテストを行った後、3月に正式にローンチされる予定だ。
ボードゲームに関しては、3月末または4月にクラウドファンディングで販売が予定されている。ボードゲーム購入者には、プロジェクトをサポートしてくれる謝礼として、Mythical Beingsのデジタルカード1パックが贈与される。購入者は、希少性の高いレアカードも選択可能だという。
特徴的なブロックチェーンゲーム開発を行うTarasca
Tarascaとは、アーダーエコシステム内のチャイルドチェーン(シャードチェーン)「イグニス(Ignis)」上に構築されているゲーム特化型プラットフォームであり、アート作品およびゲームの獲得および交換が可能だ。Tarascaが開発を行うゲームは、NFT技術を活用しているが価格が投機的にならないように意図されている点、および現実世界とブロックチェーン世界の接続に焦点を当てている点が、多くのブロックチェーン基盤ゲームと異なっている。
投機性の少ないコレクタブルゲーム
約1ヶ月後に正式なローンチが控えているTarascaのコレクタブルゲーム、Mythical Beingsとは、NFT(Non-Fungible Token/非代替性トークン)の形で表された、世界中に生息しているとされる「伝説上の生物」の収集を楽しむゲームだ。各アイテムの属性および発行枚数は異なっているが、芸術の発展および教育を目的としていることから、比較的多くの枚数が発行されているため投機的要素が少ない。
Our #MythicalBeings sometimes need to talk. To give these creatures a platform to express themselves, we’re building something awesome! #NFTs #NFTart #Collectibles #TradingCardGame #Blockchain #Ardor pic.twitter.com/0fsGsnFZrm
— Tarasca DAO (@TarascaD) January 22, 2021
また、非投機的な設計にするために、「Jackpot」と呼ばれる仕組みも用意されている。Jackpotは、一定の条件を満たしたユーザーが参加できる仕組みで、スマートコントラクトにより実装されている。
ユーザーは、(1)3枚のカードが入ったブースターパック購入、(2)分散型取引市場でカードをトレード、または(3)レア度の高いカードを獲得するためにカードの複製することにより、カードのコレクションを完成させJackpotに参加することができる。
日本語で「大儲け」や「一攫千金」を意味するJackpotのスマートコントラクトには、カード(=NFT)売り上げの50%が積み立てられていく。この積立金は、週に一度、その週にカードのコレクションを完成させたユーザーに対して、ボーナスのような形で配布される。これに加え、Jackpotの配当金を受け取ったユーザーには、ゲーム内で最もスペシャルなカード「Tarasca creature(Tarascaの生物)」カードが付与されるため、短期的な利益のためだけにNFTを売却するインセンティブが少なくなっている。
しかしTarascaの開発者は、投機的設計でないとはいえ、それぞれのプレーヤーが自身のスタイルで遊べるゲームであるため、独自の経済圏が発展し、利益のためにトレードを行うプレーヤーが出てくる可能性は否定できないとも述べている。
現実世界とブロックチェーン世界の接続
Tarascaが開発するブロックチェーンゲームのもう一つの特徴が、現実世界との繋がりに重きを置いていることだ。
3月末または4月にクラウドファンディングでの販売が予定されているボードゲームには、QRコードが添付されており、そのQRコードを読み込むとMythical Beingsのブースターパックが手に入る仕組みになっている。これにより、現実世界のゲームおよびブロックチェーン世界のゲームの架け橋が提供されている。
NFT関連の開発が進むアーダーエコシステム
スイスのブロックチェーン企業ジェルリダ(Jelurida)が開発を行うアーダーエコシステムのコミュニティ内では、NFT関連プロジェクトの開発が積極的に行われている。
特にNFT発行機能がネイティブで組み込まれているシャードチェーン、イグニスでは、NFT発行プロセスが簡略化されているため、Tarasca以外にも、Twitter上で特定のハッシュタグを使ってツイートすることにより、NFT売買を含むアーダー関連の機能を自動的に実行してくれるボット「DeFi Magic」など、様々なプロダクトが構築されている。
アーダー内でNFTを利用したアート関連のサービスについて、Mythical Beingsのデザイナーであり、自身の作品をアーダー上でトークン化した経験を持つAna Santiso氏は、以下のように述べた。
デジタル世界のアートサービスでは、(作品の)登録、トークン化および交換を円滑化し、手数料のかからない方法でトランザクションが行えるようなブロックチェーンが必要だ。アーダーはこのような問題をシンプルな方法で解決してくれているため、私たちアーティストは自分の作品に集中できる。
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