ナイジェリア中央銀行、全金融機関に仮想通貨取引関連の銀行サービス禁止を指示

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仮想通貨ユーザーの口座閉鎖を指示

ナイジェリアの中央銀行(CBN)は5日、国内の全金融機関に対し、仮想通貨取引関連の銀行口座サービス提供は禁止されていると通告した。したがって、仮想通貨取引所で取引を行っている個人と事業体を特定し、直ちにその銀行口座を閉鎖するよう指示した。

また、この指示に違反した場合は、厳しい規制措置を受けることになると警告している。

CBNの警告

金融機関に向けた上記の回覧文書では、仮想通貨に対する銀行サービスを禁止する理由について、CBNは何も示していないが、2017年1月の回覧文書に言及している。同文書には、仮想通貨は「ほぼ追跡不可能で匿名性が高いため、犯罪者によって悪用される可能性がある」とし、特に資金洗浄やテロ資金供与に利用される恐れがあると記載されている。

また、仮想通貨は世界中で「規制されていない」取引所で取引されているため、取引所の倒産や閉鎖により、ユーザーは法的救済措置を受けられず、資金を失う可能性があると警告した。

しかし、この文書が発表された4年前と今日では、技術および規制・投資環境の面で隔世の感がある。特に昨年は、機関投資家によるビットコイン市場への参入も急増し、その時価総額は現在75兆円に迫る勢いで、市場規模は2017年1月期の最高時価総額と比較しても、約75倍に成長を遂げている。

CBNは2018年2月にも「仮想通貨は法定通貨ではない」として、仮想通貨取引のリスクに注意するよう改めて警告する文書を公開したが、「仮想通貨を禁止する」との文言は見当たらない。

高い仮想通貨普及率

アフリカ最大の人口と経済規模を持つナイジェリアは、仮想通貨の普及率が高いことでも知られる。ブロックチェーン分析会社Chainalysisが昨年9月に発表した、世界154ヶ国を対象とした仮想通貨利用状況レポートでは、ナイジェリアは世界8位(南アフリカは7位)となっている。

P2P取引プラットフォームPaxfulのデータによると、昨年、ナイジェリアのアクティブユーザーは62万人を超え、同年の仮想通貨の月間取引量は6,600万ドル(70億円相当)でアフリカ市場をリードしているという。

規制面では、昨年9月にナイジェリア証券取引委員会(SEC)が、全てのデジタル資産とトークンの提供を有価証券として扱うと発表し、規制整備に乗り出していた。また、昨年10月、ナイジェリア政府は国家戦略としてブロックチェーン技術の導入計画を発表し、デジタル経済への移行に意欲を見せている。

このような政府やSECの動きと、今回の中央銀行の発表には、大きな温度差があるように感じられる。

ビットコインで抗議運動支援

昨年10月、ナイジェリアでは警察特殊部隊(SARS)による行き過ぎた暴力に対する抗議運動「EndSARS」が大きく広がっていたが、CBNは寄付金を受け入れていた現地の決済プラットフォームの口座を閉鎖した。この措置に対抗するため、抗議活動の主催者がビットコインによる寄付を受け付け、ナイジェリアでビットコインに対する関心がさらに高まるきっかけになったとも言われている。

今回CBNの動きは、EndSARSのような抗議活動の拡大を阻止するための計画ではないかとの見方も散見される。

前Jonathan政権(2010−2015)で補佐官を務めた社会活動家のReno Omokri氏は、「ナイジェリア人をさらに貧しくすることでは、第二のEndSARS運動を阻止できない」と指摘。深刻な不況に陥っているナイジェリア経済に、多額の外貨収入をもたらす仮想通貨のような市場を何を根拠に遮断することができるのかと、Buhari政権を痛烈に批判した。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

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