ビットコインが弱気相場に転換する要素は?=Alex Krüger氏

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ビットコインの弱気相場を作る要素

仮想通貨トレーダーで経済学者のAlex Krüger氏は、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)を弱気相場に陥らせる状況には、マクロ経済とマイナーの二つの要素が関連していると述べた。

マクロ経済面でビットコインに打撃を与える要素としては、米ドルの下落トレンドの大幅な転換や実質金利が上昇してプラスに転じることを挙げた。一方、マイナーについては、マイナーのコスト/収益サイクルを考慮する必要があるとして、一連のツイートで詳しく説明している。

マイナーの収益サイクルとビットコイン価格

Krüger氏は、前提として、マイニングの難易度に直接関係するハッシュレートの変化が、ビットコインの「生産コスト」に大きく影響するという事実を提示した上で、マイナーの収益性のサイクルを次のようにまとめた。

1.強気相場では、マイニングのハッシュレートの上昇が価格の上昇に追いつかないため、マイナーの生産コストは抑えられたままで、収益性が爆発的に上昇する。

2.収益性が高くなると、既存のマイナーはさらに容量を増加させ、新たなマイナーも参入する。(中にはマイニングにかかるコストを精査せずに、割高なマイニング機器を購入する新規参入者もいる)

3.収益性が向上すると、マイナー(マイニング企業)は、最新機器の導入など採掘能力を増やす措置をとる。しかし、実際に採掘能力に変化が起きるのは、現在、納期に半年以上の遅延が起きているマイニング機器の設置後となるため、ハッシュレートの上昇は価格上昇に遅れをとる状況が生まれる。

4.収益性が急上昇している間は、マイナーは獲得したビットコインの売却量を削減することも可能。マイナーがビットコインの売却を控えると、市場におけるビットコインの希少性が高まり、さらなる価格上昇を促す一因となる。

昨年5月にビットコインは3回目の半減期を迎え、マイニング報酬は半分の6.25BTCとなったが、現在の相場では、マイナー報酬は半減期前よりも大幅に上回っている状況だ。Krüger氏は、半減期前と後のビットコイン採掘量を、それぞれ1日当たりの1800TBC、900BTCとして報酬を算出している。

半減期前:1800BTC/日 X $10,000 =$18,000,000/日(1800万ドル=約18.9億円)

半減期後:900BTC/日 X $35,000 = $31,500,000/日(3150万ドル=約33億円)

5.最終的にハッシュレートが価格上昇に追いつくと、マイナーの生産コストも上昇するため、マイナーはビットコインの売却量を増やし、コストをカバーするようになる。この場合、マイナー間では、他のマイナーより一足先に販売することで、高値で売り抜けようという心理も働くと、Krüger氏は指摘した。

さらに、それまでマイナーがビットコインを売り控えていたため、一旦マイナーによる販売量が増加すると、ビットコイン売りに拍車をかけるような「最悪の状況」を呼び起こす可能性があると同氏は述べた。

マイニングデータ

Krüger氏は、マイナーは昨年後半には、ビットコインを売却せず蓄積する戦略をとっていたようだが、今年に入り、マイナーによるビットコインの販売量は増加しているという。

同氏が頻繁に参照するというマイニングデータサイト、CryptoQuantの創設者Ki Young Ju氏は、マイナーによる取引所へのビットコイン送金量が最高域に達しているとツイートした。

同時に、CryptoQuantは取引所が保有しているステーブルコインの量も、再び史上最高値に達しているとツイートしている。

一方、テスラCEOのイーロン・マスク氏が、自身のツイッターのプロフィールを「#bitcoin」に変更すると、その数分後にはビットコインが急騰するなど、相場に影響を与える要素は、思いがけないところに存在するようだ。Ju氏は、マスク氏のツイートは、全ての弱気相場のサインを無効にしたかのようだとコメントした。

なお、Krüger氏自身は、2021年のビットコイン相場に関して強気であることに変わりないが、弱気相場となる展開についても注意を払う必要があると述べている。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

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