短期トレードの機会も
暗号資産(仮想通貨)取引所Bybitは、2021年のビットコイン(BTC)動向を米国の金融政策等から探るレポートを公開した。2021年は「 The Year for Turbulence Trading(乱高下の年)」になると見込んでいる。
18日に公開されたレポートでは以下の点をまとめている。
- 連邦準備委員会のテーパリングの議論によって引き起こされた米国債利回り上昇が暗号資産(仮想通貨)市場のパニックの波を引き起こした
- 短期的な調整の危険は誇張されている可能性があるが、市場参加者はボラティリティの高まりに注意する必要があり、より良いリターンを実現できる可能性もある
- テーパリングに関する話があるものの、具体的な政策変更や金利上昇の予測は時期尚早であり、過度な調整はボトムフィッシング(押し目買い)の機会になり得る
- ビットコインの価格はGBTCのサブスクリプションプログラムの最下位からすぐに回復した
テーパリングの動向
米連邦公開市場委員会(FOMC)は1月26、27日に行われる。事前の見通しではテーパリング(金融緩和の段階的縮小)について慎重な姿勢が表明されるとの見方が優勢だ。
委員会が避けたいのは「市場のかんしゃく」と呼ばれる現象だという。2013年に行われたテーパリングはこうした市場の動揺を招いた。
当時の市場のかんしゃく(taper tantrum)の間、金の価格は暴落している。希少性という性質を金と共有し、デジタルゴールドとも呼ばれるビットコインで、この苦い記憶が呼び起こされる可能性があるとレポートは述べた。
一方で、インフレを警戒する声がある。1月5日に米ジョージア州で行われた投票により、民主党が上院を支配、下院とホワイトハウスを合わせて全て民主党が制する「ブルーウェーブ・ブルースィープ」と呼ばれる状態になる。
これはより大きな景気刺激パッケージの前触れになるという。米国の10年物国債利回りは1月12日に1.15%に跳ね上がり、主要な心理基準である1%を突破している。
また、18日までの時点では、グレースケールのGBTCの受付再開による需要が、利回り上昇による短期的なビットコインの価格急落を上回ったと分析している。
レポートでは名目利回りの上昇が暗号資産(仮想通貨)にもたらす潜在的なリスクに注意を呼び掛けた。
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