「デジタル通貨のリセット」をテーマとする討論
1月24日から29日にかけてオンラインで開催される2021年世界経済フォーラム・ダボス会議の中で、デジタル通貨についても議題として話し合う。
「デジタル通貨のリセット」と題する討議セッションが二つ開催される。
どちらも、現金の役割の縮小と中央銀行デジタル通貨(CBDC)の出現に焦点を当てたものだ。ダボス会議の公式サイトによると概要は以下のとおり。
COVID-19は、現金からの長期的なシフトを加速させた。一方、中央銀行のデジタル通貨が出現しており、世界中の人々がお金を使う方法を変える可能性がある。
デジタル通貨の台頭によってもたらされる機会を活用するには、どのような政策、慣行、パートナーシップが必要だろうか?
暗号資産(仮想通貨)やCBDCを巡る一連の政策についての議論が期待される。
1月25日のセッションの参加者には、イングランド銀行(英国の中央銀行)のAndrew Bailey総裁、国際送金・貿易業務などを提供するウエスタンユニオンのHikmet Ersek CEO、アフリカでブロックチェーンによる決済プラットフォームを推進するBTC Africa SAのElizabeth Rossiello CEOなどが挙げられる。
尚、Andrew Bailey総裁はCBDCについては前向きに検討する姿勢を示しつつ、過去ビットコイン(BTC)について懐疑的な発言を行っていることで知られている。
CBDCについては各国で仕組みやリスク、その恩恵などについて検討が進められているところだ。
2020年11月に欧州中央銀行(ECB)が開催した、中央銀行についての年次フォーラムでは、欧州中央銀行(ECB)、米連邦準備理事会(FRB)、イングランド銀行(BoE)の代表者がCBDCについてパネルディスカッションを行った。
まだ検討段階であるが、いずれも積極的に研究を行っていることを示している。この席でBailey総裁は「人々がCBDCに信頼感を持つようになれば、米ドルを裏付けとする仮想通貨テザー(USDT)や、Facebookが主導するデジタル通貨など、民間ステーブルコインにCBDCが取って代わる可能性もある」と語っていた。
Bailey総裁が今回はどのような発言をするのか注目される。
中国とシンガポールからも代表者
また、1月28日のセッションには、シンガポール政府のTharman Shanmugaratnam上級大臣、中国清華大学に設置されている国立金融研究所長の朱民氏、仮想通貨メディアCoinDeskのコンテンツ責任者Michael Casey氏などが参加予定だ。
シンガポール中央銀行の長官は、2020年6月にCBDCについて中国と知識面で多くの交流を行っており、協力関係を開始すると述べている。
尚、Facebookの主導するステーブルコインについて懸念を示す政府が多い中、シンガポールの国有投資ファンド「Temasek」はディエム協会(リブラからディエムに改称)に参加していることは注目される点だ。
2020年のダボス会議
昨年のダボス会議で仮想通貨については、歴史学者Yuval Noah Harari氏が懐疑的な態度を示した一方で、ビットコインなどを支持する論者も存在していた。
フランスのBruno Le Maire経済財務大臣は、仮想通貨ウォレット企業Ledgerなどの名前を挙げ、こうした企業が法的遵守を行う限り、仮想通貨はフランスにおいて果たすべき役割があると発言。
またビットコインにより国際決済のコストや遅延を抑制することができるとも述べている。
他に、インドのパンジャブ州の経済顧問も、監督されていればビットコインは素晴らしいアイデアだとしている。
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用