CBDCとデジタル証券の取引を実験
フランス銀行(中央銀行)は19日、中銀デジタル通貨(CBDC)の実験において、2020年12月に200万ユーロ(約2.5億円)超の決済に成功したことを発表した。
プライベートブロックチェーンを活用し、CBDCをトークン化して実験用の株を購入するところから償還までの流れを実行。中銀がCBDCの発行や管理を行い、送金と同時に証券の引き渡しを行うにはスマートコントラクトが必要だったとしている。
今回利用したブロックチェーンを開発した企業は、ロンドンを拠点に分散型台帳技術(DLT)を開発するSETL。実験にはシティグループなど複数の銀行や資産運用企業が協力している。
SETLはフランス銀行の発表を引用し、「CBDCが実際に経済に貢献できるかを判断するための実験で大きく前進した。CBDCがブロックチェーン環境における資産の決済で、効率性や回復力を高められるかを試していく」と説明している。
フランス銀行がブロックチェーンを使って行うCBDCの実験は、2021年中頃まで続けられるという。
フランス銀行の取り組み
フランス銀行はテゾス(XTZ)のブロックチェーンを活用するなど、CBDCの実験に積極的に取り組んでいる。
昨年7月には、アクセンチュアやHSBC、「Societe Generale – Forge(以下、Forge)」らを実験の協力企業候補に選定。暗号資産(仮想通貨)を除く金融資産と法定通貨の新たな取引方法を探り、国際送金を改善するためのテスト、またCBDCを利用できるようにするための取り決めの再考も行うとしていた。
昨年10月にはForgeのパートナーとして、イーサリアム(ETH)のブロックチェーン技術も専門に扱う米ConsenSysが、フランス銀行との実験に参加することが分かった。
ConsenSysは主にCBDCの発行や管理、証券の引渡し(Delivery)と代金の支払い(Payment)の両方を行う「Delivery Versus Payment(DVP)」、台帳の互換性に関して技術や専門知識を提供する。
証券と資金の授受をリンクさせるDVP決済の領域では、証券がデジタル化したケースで、法定通貨がデジタル化するCBDCの重要性が説かれている。企業間決済のホールセールモデルにおけるCBDCの利用で、重要テーマの1つだ。
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