ブロックチェーン基盤のARゲームTriffic
スイスのブロックチェーン開発企業ジェルリダ(Jelurida)は、自身が開発を行うブロックチェーン「アーダー(Ardor)」エコシステム内の構築されているAR(現実拡張)ゲームアプリ「Triffic」の最新開発進捗を共有した。
Trifficは、20年9月にTriffic独自のチャイルドチェーンをアーダーエコシステム内に作成。これ以降、DEX(分散型取引所)付属ウォレットや新規UI実装など急速に開発を進め、同年12月にはゲーム内トークンGPS利用体験を向上させるための、パワーアップアイテム機能を追加したことを発表した。
ジェルリダは、ブロックチェーン基盤のゲームプラットフォーム開発に注力し、20年12月には、オンチェーン版のトランプゲーム「Bridge Champ」の構築をイグニス上で開始した。
Trifficとは
Trifficとは、アーダーブロックチェーンを基盤にしたARゲームアプリだ。ユーザーはアプリ内の地図を利用して現実世界を歩き回り、地図上に表示されたビーコン(Beacon)と呼ばれる位置情報発信源を見つける「宝探し」を楽しむことができる。ビーコンには様々な報酬が用意されており、中にはゲーム内で利用されている仮想通貨GPSトークンを付与するものもある。
ポケモンGOに類似したコンセプトのゲームだが、ブロックチェーン技術を基盤にしていること、トークンで報酬が与えられるという点が特徴的だ。
Trifficの創設者James Malach氏によると、今後数ヶ月間で、サイドクエスト用のビーコンなど、ゲームとしてより楽しめるような機能の追加を予定している。20年は目標であったアーダーエコシステム内での独自チェーンローンチが完了したが、21年は位置情報を利用したマーケティングプラットフォームとして、地位の確立を目指すという。
GPSトークンとは
GPSトークンとは、Trifficゲーム経済内で利用されているTrifficのネイティブトークンであり、ユーザーは、ゲーム内で様々なアクティビティを完了することにより、これを報酬として獲得できる。ゲームの利用を開始するにあたり、事前にGPSを入手する必要はなく、無料でプレーできるため、投資および仮想通貨に馴染みのないユーザーでも簡単に遊べる設計になっている。
GPSは現在、アーダーチェーン上で運営されているDEXにて、ビットコインおよびイーサリアムとトレード可能である。GPS引き出しには現在対応していないものの、引き出し機能のテストを実施しセキュリティが保証され次第、21年第一四半期を目処に実装が予定されている。
ローカルビジネスサポートサービス
Trifficでは、プラットフォーム内で広告掲載機能を提供し、新規顧客を獲得したいローカルビジネスのサポートに取り組んでいる。Trifficでプレーするには、携帯端末の位置情報サービスの利用が必要なため、Trifficでプロモーションを行いたい企業は、この仕組みを活用し、近くにいるユーザーに限定的に広告を配信することが可能だ。
広告掲載だけでなく、企業は独自の報酬ビーコン作成や、GPSでの支払い受付にも対応可能であり、トークン経済および位置情報サービスを多方面から活用した企業サポートが提供されている。
創設者James Malach氏のコメント
Trifficの創設者James Malach氏は、今後のTrifficについて、以下のコメントを出した。
2020年は、Trifficのビジネスモデルが機能すること、そしてアルゴリズムが健全であることの証明に費やした。21年は、位置情報サービスを利用したマーケティングプラットフォームとして世界をリードしていきたい。
Trifficのユーザーは、ローカルエリアを探索し、AR報酬ビーコンの中にある仮想通貨を見つけることによる、GPSトークン獲得を楽しんでいる。今後数ヶ月間で、サイドクエストビーコンやフォーセットビーコンなど、ゲームをより楽しく魅力的にするための機能リリースが計画されている。私たちは成長し続けるコミュニティと密接に関わり、彼らがほしいものを、彼らが好む方法で実装してきた。
慣習的なオンラインマーケティングは、ウェブサイト上でクリックを集めるには優れているが、実際に顧客が店舗にやってくることに依存しているビジネスにとっては、あまり効率的でない。Trifficのパートナービーコンを利用すれば、顧客にインセンティブを与えることで、実際の物理的なロケーションに彼らを呼ぶことができる。また、これらは全て、アプリ上で無料で獲得できるTrifficの仮想通貨を利用して行われるため、小さなローカル企業でも、現金をリスクに曝さずに、このサービスを試してみることができる。
増加するブロックチェーンゲーム
ブロックチェーン技術を活用したゲームプラットフォームには、NFT(Non-Fungible Token/非代替性トークン)を発行することによりデジタルアイテムの真正性を保証できる、トークンを作成することによりゲーム内経済が簡単に構築できる、ゲーム内で獲得した資産および価値を売却できる、などの利点がある。
Jeluridaの他にも、ブロックチェーン業界では、ゲームプラットフォーム開発に取り組んでいるプロジェクトが増加してきている。
NBA Top Shot
「CryptoKitties」の開発で知られている「Dapper Labs」は、20年10月に米プロバスケットボールリーグ(NBA)と提携し、ブロックチェーン基盤のコレクティブル(収集系)ゲーム「NBA Top Shot」をリリースした。
NBA Top Shotは、Dapper Labsが開発を行う独自チェーン「Flowブロックチェーン」上に構築されている。同ゲームでは、NBA選手の写真やプレイ動画がNTF化されており、ユーザーはカードパックを購入することにより、アイテムを収集できる。
LiteBringer
ドイツを拠点とするゲーム開発会社CipSoftは、ライトコイン(LTC)のブロックチェーン上で、本格的RPGゲーム「LiteBringer」をローンチした。
一般的なRPGと同様に、ユーザーはゲーム内でキャラクターをレベルアップさせ、アイテムを入手することができる一方、ゲーム内での売買がLTCチェーン上で行われ、キャラクターおよびアイテムが全てブロックチェーン上で記録されるなど、ブロックチェーンゲーム特有の特徴も持ち合わせている。
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