ブロックチェーンと仮想通貨を評価できる人物を求人
株式、債券、不動産等を運用する世界最大の資産運用会社、ブラックロック社がブロックチェーンを担当する人材:Vice President (VP)を募集している。
必要な職務経験にはブロックチェーンのほか、仮想通貨(暗号資産)に関するものが挙げられている。仮想通貨を評価するための方法論を考案することが可能で、ハッシュやコンセンサスメカニズムなどについて理解のある人物が求められており、ブロックチェーン・ネットワークの設計を速度、スケーラビリティ、プライバシー、セキュリティに関して分析できることも要件だ。
ブラックロック社は、世界24カ国に拠点を構え1万人超の社員を抱えており、その運用資産額は今年9月の時点で7.81兆ドル(約809兆円)に到達している。もし仮想通貨に参入すればそのインパクトは大きい。
以前より仮想通貨投資の可能性を調査
2018年に同社CEOのLarry Fink氏は、仮想通貨業界がもう少し成熟しない限り、仮想通貨投資信託(ETF)の立ち上げはないと述べていた。
一方で、「政府から保証されるようになれば立ち上げるつもりだ」とも発言しており、数年前より仮想通貨やブロックチェーンを調査する為にチームを編成し、投資可能性を調査した経緯がある。
12月初めには、ビットコインは多くの人々の関心を惹いているが「まだテストされておらず、他のマーケットに比べとても小さい市場だ」と語りつつ、おそらく今後は「グローバルなマーケットへと進化することができる」という見解を示し、仮想通貨を使ってどのようなビジネスを行なっているか、それがどのような影響を及ぼす可能性があるなど、事業を先に進める競合他社の調査も行なった。
人事採用としては、2019年4月に、元リップル社幹部のRobbie Mitchnick氏をブロックチェーンやデジタル資産分野のリーダーとして採用。今回の求人で、同社がさらに仮想通貨事業の検討を強化することの表れとなりそうだ。
バイデン米次期大統領の政権人事で、財務副長官、国家経済会議(NEC)委員長にそれぞれブラックロックの出身者が指名されており、同社は政権への影響力も保持しつつある。
SEC長官交代で、ビットコインETFの行方は?
米国では、証券取引委員会(SEC)Jay Clayton元長官が、リップル社を提訴した翌日(24日)のタイミングで退職。Clayton元長官の下で、ビットコインETFは一件も承認されてこなかった。
後任としては、現職のElad Roismanコミッショナーが新長官として就任。新長官のポジションは臨時で、次期大統領のバイデン氏が就任後、新たな長官を任命するという。
どのような人物が新政権でSEC長官となるのか、ブラックロックの事業戦略と合わせてビットコインETFの進展で注目されるところだ。
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