仮想通貨市場とBTC(ビットコイン)
週明けとなる21日の暗号資産(仮想通貨)市場。 ビットコイン(BTC)価格は、前日比+1.84%の246万円(23,860ドル)に。高値圏で乱高下している。
5時頃には日本円で250万円を付けるも、239万円まで反落。12時時点で再び246万円まで上昇した。
足元の過熱感が指摘される一方、長期的な強気相場を下支えしているのが、業界内外のアナリストらも指摘する、機関投資家、中央銀行、ファンド、金融専門家の資金を指す、いわゆるスマート・マネー(smart money)の断続的な流入観測である。
流入のトリガーとなったのは、金融業界関係者の度肝を抜いたヘッジ・ファンド業界伝説の投資家ポール・チューダー・ジョーンズ氏による、今年5月のビットコイン巨額投資と、NASDAQ上場のビジネスインテリジェンス企業MicroStrategyの動向だ。
MicroStrategyのMichaelSaylor最高経営責任者(CEO)は、大規模金融緩和対策で、米ドルヘッジの観点から数百万ドル相当のBTC購入を米上場企業として決断。その後莫大な含み益をもたらし、株価高騰につながった。
大手ヘッジファンドOne River AssetManagementやRufferInvestmentも追従し、”米NYウォール街の巨人”とされるGuggenheim Partnersは、SEC(米証券取引委員会)に対し、Macro Opportunitiesファンドがグレイスケールを通じ、純資産の10%となる最大5億ドル相当のBTCを割り当てるための書類を提出している。
MicroStrategyは、ビットコイン25,000ドルに迫る高騰で約2倍の利益を得ていると試算されており、米NASDAQ株式市場に上場するMicroStrategy株(MSTR)も高騰した。今年8月以降、ビットコインは106%増となっており、MSTRはそれを上回る124%増のリターンを記録している。
MicroStrategyのMichaelSaylor CEOは10月21日、米決済大手PayPal参入を受け、「ビットコインは、金(ゴールド)を非物質化したデジタルゴールドであり、金よりも優れた準備資産である」と評価。「長い時間軸であるほど投資先として適している」と主張していた。 当時のBTC価格は13,000ドル前後を推移していた。
Paypal will allow anyone to store all of their personal treasury assets in #Bitcoin and make payments quickly & easily in fiat from their mobile device. The future is here.https://t.co/gRH2BzqYKN
— Michael Saylor (@michael_saylor) October 21, 2020
MicroStrategy社は12日、ビットコインの追加購入を行うために、転換社債(convertible notes)を販売し、約680億円(6.5億ドル)を調達したことを発表するなど、長期保有継続のための強気姿勢を崩していない。追加購入に至った場合、その保有量は実に76,000BTCに及ぶと試算される。
一方、米大手銀行シティバンクのアナリストは、MSTR株における「インサイダーセリング(関係者による売却)」の規模拡大や保有資産(ポートフォリオ)におけるビットコイン比率上昇を潜在リスクとみなし、同社の株式に対する評価(レーティング)を「中立」から引き下げている。
USDCクジラが活性化
また、仮想通貨データ分析企業CryptoQuantのCEOは、米コインベースと提携して発行する、米ドルに裏付けられたステーブルコイン「USDC」のクジラの入金が活性化していることを指摘。”強気シグナル”との見解を示した。
値動きを米ドルにペッグされたステーブルコインは、事実上「デジタルドル」との見方があり、価格変動性の低さや銀行に保管される信頼性などから重宝される。
USDCの市場規模は、今年10月時点では、最大勢力であるUSDT(テザー)の約17%にとどまるが、過去数カ月の成長率はテザーを上回る。Coinmetricsのデータによれば、今年5月からの5ヶ月でテザーの時価総額は約2倍増加したが、USDCの時価総額は約4倍の成長を記録している。
USDCの需要増は、イーサリアム基盤のDeFi(分散型金融)セクターの利用率増が影響する。
市場シェア1位のテザーの準備資産問題がくすぶる中、米最大手取引所コインベースが世界的に最も厳しい規制とされるニューヨーク州の金融規制当局に承認されているステーブルコインであることも、機関投資家を中心に信頼を勝ち得ている。
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