米財務省、明日にも個人ウォレット関連の規制案公開か
米国財務省が、米国時間18日(金曜日)に暗号資産(仮想通貨)の個人保管ウォレットと取引するマネーサービス事業者(MSB)を取り締まる新たな規制案を公開する可能性があることが判明した。CoinPost提携メディアのThe Blockが、関係筋の情報として報じた。
新たな規制案では、仮想通貨取引を行うユーザーに関して通貨取引報告書(Currency Transaction Report)の提出を義務付ける可能性がある。
一般的に、金融機関は通貨取引報告書は、1人の人物が1日で総額1万ドル(約100万円)以上に相当する取引を行った場合に提出する必要があるが、想定される新たな規制案でその限度額は現状明らかになっていない。
なお規制案は「ルール設定に関する告知」または「暫定最終ルール」として発表される可能性があり、後者の場合は告知時点で即時法的拘束力を発揮することになると関係者は語っている。
仮想通貨規制強化の可能性
一方、CoinDeskが報じたところによれば、FinCEN(金融犯罪捜査網)も求人欄で仮想通貨に関する専門知識を有する人材を募集開始する。米CoinbaseのBrian ArmstrongCEOは先日、米トランプ政権退任(21年1月20日)前に米スティーブ・ムニューシン財務長官が仮想通貨の個人ウォレット(non-custodial wallet)を規制する案を施行するとの情報に言及している。
米財務省が個人ウォレット規制については、米議会のWarren Davidson議員らも懸念の声を上げていた。
先月時点では、FinCENと米連邦準備銀行(FRB)が合同で米国を起点または終点とする国際送金取引に関する情報収集要項の変更案を提出していた。
これまで3000ドル以上の取引のみが情報収集対象となっていたが、2019年の調査で米国外への送金額が約500ドルと犯罪者がシステムの弱点を悪用していたことが要因となっている。
背景にあるFATFのトラベル・ルール
一方で、国際的規制機関のFATF(金融活動作業部会)が昨年6月策定した「トラベル・ルール」内には、仮想資産サービス・プロバイダー(VASP)が取引を行う際に取引の送受人の情報を把握する必要性が示されていたため、このような事例は新しいものではない。
トラベル・ルールとは、資金洗浄等防止のため国際的な電信送金に関するルールで、仮想通貨取引所などのサービス・プロバイダー(VASP)には取引の際、送金者と受取人の情報を収集・交換し、その情報の正確性を保証することも求められる。
対象となるVASP間の仮想通貨送金で、国際的なKYCルールが適用されることになる。
すでにスイスではFATFのトラベル・ルールに準拠した仮想通貨ウォレットに対する制限が仮想資産サービス・プロバイダーとユーザーの間で施行されている。
米財務省から個人ウォレットの規制明確化は課題の一つとなっていたが、上述のWarren Davidson議員も「規制とイノベーションのバランス」や規制当局と業界関係者やステークホルダー間の連携を呼びかけていた。
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