JPモルガン出身の最高規制責任者、リップル社の取締役会就任へ

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リップル社の規制対応に助言

米リップル社が、元JPモルガンチェースの最高規制責任者Sandie O’Connor氏を取締役会に加えると発表した。規制対応のエキスパートであるO’Connor氏は、リップル社が米国政府に暗号資産(仮想通貨)規制の明確化を訴える中、政府との関係や、規制対応について助言していく見込みだ。

リップル社CEOのBrad Garlinghouse氏は、次のようにコメントした。

米国は、競争の場を公平にし米国企業やイノベーションを後押しする、統一された明確な仮想通貨規制フレームワークを必要としている。O’Connor氏の経験と助言は、より包括的な金融システムを構築するための、私たちの旅程をサポートしてくれるだろう。

O’Connor氏は、米金融業界に関するメディア「AMERICAN BANKER」の「銀行業界で最もパワフルな女性ランキング」にも常連としてリストアップされる実力者である。

JPモルガンチェースでは、同社の全体的な規制戦略を策定し、規制ルールの更新について、G20の規制当局や政策立案者との関わりを主導していた。1988年にJPモルガンに入社して、30年以上のキャリアの中でいくつかの上級管理職を歴任し、投資銀行部門と企業部門で責任ある立場についていた。

O’Connor氏は就任にあたって次のように語っている。

リップル社の決済エコシステムの進化をサポートし金融包摂を促進するために、規制政策の分野で様々なリーダー達と共に働いた、私の経験を活かせるのが楽しみだ。

国外移転も検討するリップル社

リップル社は、米国におけるブロックチェーンと仮想通貨に対する規制の不明確さを問題視しており、本社の米国外移転も検討しているところだ。移転候補地には日本も含まれており、その他イギリス、スイス、シンガポール、アラブ首長国連邦を挙げている。

Garlinghouse氏によれば、これらの国の共通点は「政府・規制当局が仮想通貨を明確に規制していること」だという。

XRPの「有価証券問題」

リップル社は米国で「XRPは未登録の有価証券」であるとして訴訟を起こされており、この背景には米国証券取引委員会(SEC)が、明確な方針を示していないこともある。SECはビットコインとイーサリアムについては「証券ではない」と明言したものの、XRPについては依然として明確に定義していない。

Garlinghouse氏は、この不明確さが米国において「XRPの普及に不公平な状況を作り出している」と主張。また米国では、様々な規制当局が仮想通貨に対し、それぞれ異なる規制方針を示しているため、企業運営が困難だと話した。

有価証券問題について同氏は、「SECがXRPを有価証券と判断することは難しい」とした上で、仮に有価証券と認定されても、リップル社が影響を受けるのは、「On-Demand Liquidity(ODL)」という一部の製品だけで、これもブローカー・ディーラーの認可を取得することで対処できると答えている。

規制改善の動きも

しかし米議会では、こうした状況を改善する可能性のある動きもある。9月に議会に提出された「デジタル商品取引法」は、仮想通貨市場において、商品先物取引委員会(CFTC)とSECの間に存在する「規制のギャップ」を埋めることが目的だという。

また政府機関の中でも、米通貨監督庁(OCC)は仮想通貨を促進する政策を打ち出している。OCCのBrian Brooks長官代理は今年、銀行の仮想通貨カストディや、ステーブルコインの準備金保有を可能とする方針を導入した。

リップル社の新取締役O’Connor氏も、米国の仮想通貨規制の改善に向けて働きかけていくことが期待される。

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