デジタル資産のテストを実施
オランダを拠点にする大手銀行ING Bankが、暗号資産(仮想通貨)などのデジタル資産に関する取り組みについて説明した。CoinDeskが報じた。
同行はデジタル資産の取引後のインフラを構築するプロジェクト「Pyctor」を主導。今回はそのプロジェクトで実施したテストについて語っている。
ING Bankでブロックチェーン・デジタル資産部門を率いるHerve Francois氏は8日、シンガポールで開催されたイベント「Fintech Festival」に登壇。
Pyctorのインフラについて「分散型のネットワークのため単一障害点がなく、保管されたデジタル資産のセキュリティを高める」と強みを説明している。
今回明らかになったテストは、トークンの発行と管理運用モデルに関するものだ。イーサリアムのブロックチェーン(テストネット)でトークンを発行するスマートコントラクトを、Pyctorのプライベートネットワークから実行したという。
Francois氏は「分散型のネットワークで行なった今回のテストで、新たに発行されたトークンはPyctorのエコシステムのカストディアンで安全に保管できた」と結果を説明。
取引はイーサリアムのメインネットで行ったため、パブリックブロックチェーンを利用できるという仮説を実証できたと述べている。
Pyctorについて
Pyctorには、ブロックチェーンに特化した金融サービス企業「Societe Generale – Forge」、またシティバンクやUBSといった大手銀行らも参加している。
取引後の資産を保管するカストディンや資産の発行企業らを対象にしたインフラを作り、規制に準拠してデジタル資産を発行・管理できるようにサポートすることが目的だ。このプロジェクトは英金融行動監視機構(FCA)のサンドボックス制度を利用して進められており、構築するネットワークが分散型に設計されていることが大きな特徴である。
Pyctorとは別に、ING Bankの親会社であるINGグループが、デジタル資産の採用を推進する業界団体「グローバル・デジタル・ファイナンス(GDF)」に加入し、カストディ・ワーキンググループの共同議長を務めることが今年7月に明らかになった。
GDFの諮問委員会のメンバーになり、デジタル資産業界をリードする企業とともに、業界の行動規範開発を主導していくとしている。
INGグループは、積極的にブロックチェーンプロジェクトに取り組んでいる。
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