国家安全の脅威か
米国の情報機関を率いるJohn Ratcliffe国家情報長官がデジタル人民元の開発や中国の暗号資産(仮想通貨)マイニングの独占が国家安全保障を害する可能性があると懸念している。
Washington Examinerの25日の報道によると、上述はRatcliffe氏が11月初めに米証券取引委員会(SEC)のJay Clayton長官宛てに送付した内容。中国での仮想通貨マイニングのドミナンスやデジタル人民元の開発進捗を念頭に、米国における仮想通貨・デジタル通貨セクターの競争力を高めるためのルール改正や発行をSECに求めているという。
英名門ケンブリッジ大が提供する「世界マイニングマップ」によると、中国におけるビットコインマイニングのハッシュレートは、世界の65%を占めているが、米国では8%未満の水準に留まっている。また、中央銀行発のデジタル通貨分野でも、中国はすでに複数の都市でデジタル人民元の試運転を行っているが、米連邦準備理事会はデジタルドルの開発を検討している段階にいる。
また、Ratcliffe氏は今年の夏にもTom Cotton上院議員にデジタル通貨に関する明確な方針制定の必要性を伝えたという。一方、現時点ではSECはRatcliffe氏に返答していない模様だ。
業界はこれまでSECが仮想通貨セクターに対してルールを明確化しないことを指摘し、業界推進団体は行政官庁へより明確な規制環境を働きかけている。なお、Clayton長官は21年6月までの任期を前倒しして、今年の12月末までに退任する予定だ。
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