米・欧・英の3中銀、デジタル通貨発行に前向き姿勢=ECBフォーラム

Blockchain
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欧州、米国、英国の代表者がCBDCについて最新の見解

欧州中央銀行(ECB)が開催した、中央銀行についての年次フォーラムで、欧州中央銀行(ECB)、米連邦準備理事会(FRB)、イングランド銀行(BoE)の代表者が介し、中銀発行デジタル通貨(CBDC)に関する取り組みについて最新の報告とパネルディスカッション(討論)を行った。

欧州中央銀行

ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は、CBDCについて「それがユーザーにとってより安く、より速く、より安全であるなら探求する必要がある」と述べ、また「通貨主権、ユーロ圏のより良い自治に貢献するのであれば」CBDCを模索すべきと発言した。

一方で、デジタル通貨には、マネーロンダリング、テロ資金調達、ユーザーのプライバシー保護などの課題も多く、デジタル・ユーロの立ち上げまでには少なくとも2~4年はかかるとした。

ラガルド総裁は改めて、CBDCは「現金を代替するのではなく、補完する」ものになるとして、CBDCがローンチされても現金の使用は続くと強調している。

ECBは、2020年10月から2021年1月中旬までCBDC計画についてのパブリックコメントを受け付けているところだ。デジタルユーロの機能やスマートフォンで使いたいかなど、一般ユーザー目線の質問と、金融機関向けの質問が設けられている。

また、10月にECB執行委員ファビオ・パネッタ氏は、デジタルユーロを導入すべきシナリオについて講演し、社会で決済デジタル化が進む中で、ECBがデジタル・ユーロを様々な課題に対しての有望な解決策とみなしている姿勢を示した。

米連邦準備制度

米連邦準備制度理事会(FRB)ジェローム・パウエル議長は、「CBDCを主要国の中でも最初に立ち上げることよりも、正しく導入することがより重要だ」と述べて、米ドルは世界の準備通貨であるため、CBDCがもたらす金融・財政的な影響を慎重に評価していくと説明した。

10月に開催された国際通貨基金(IMF)のイベントに登壇した時に披露した見解を再確認した形だ。このイベントで、パウエル議長は「サイバー攻撃や詐欺 、金融政策や安定性への影響、ユーザーのプライバシー保護と犯罪対策のバランス」などをリスクとして挙げた。

メリットとしては、決済をより速く、安価に実行できることや、従来の金融サービスを受けられていない層にもリーチできる可能性を指摘している。米国は「デジタルドル」の発行は決めていないものの、積極的にその研究は進めている。

イングランド銀行

BoEのアンドリュー・ベイリー総裁は、人々がCBDCで貯蓄することや、支払うことに信頼感を持つようになれば、米ドルを裏付けとする暗号資産(仮想通貨)のテザー(USDC)や、Facebookが主導するリブラなど、民間ステーブルコインに取って代わる可能性もあるだろうと述べた。

イングランド銀行は3月に、CBDCについてのディスカッションペーパーを発表。CBDCは決済環境や国際送金などの利便性を高め、多くのユースケースを生み出し得ると論じつつ、金融の安定性に影響を及ぼすリスクについても言及した。

ベイリー総裁は7月のオンラインセミナーでCBDCの導入時期について「個人的には今後数年の間」に行われるとの見解も明かしている。一方、総裁は、ビットコインについては本質的価値はないと批判的意見を度々明らかにしており、仮想通貨に懐疑的な立場をとっている。

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