「なぜコロナ禍に仮想通貨政策を優先するのか」米議員、通貨監督庁に書簡を送付

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通貨監督庁に書簡送付

米国の下院議員が、米通貨監督庁(OCC)のブライアン・ブルックス最高執行責任者(COO)宛で書簡を送付したことが分かった。

最近のOCCの活動が暗号資産(仮想通貨)を含めたデジタル領域に偏っていると指摘。他の規制当局や議会とさらに協力し、このことの影響を再考して業務の優先順位を正確に見極めるよう促している。

OCCの最近の活動とは、今年7月に米貯蓄貸付組合および国民貯蓄銀行に対し、仮想通貨の取り扱いを許可する声明を発表したことや、9月に連邦公認銀行が仮想通貨ステーブルコインの準備資産(法定通貨)を保管することができるようにするガイダンスを発表したことなどを指している。

ブルックス氏は米上院でOCCの活動や金融分野の現況について証言した際、仮想通貨政策を積極的に進めていると説明。ブルックス氏は以前大手仮想通貨取引所コインベースの最高法務責任者を務めていた人物だ。

米議員は書面で、OCCは仮想通貨関連の金融サービスを利用している米国民は8%おり、利用が最近ミレニアル世代で増加していると強調しているが、その他の状況も注視することが重要であると指摘。

最も最近のデータとされる2017年の調査を引用し、米国の6.5%が銀行に口座を持っておらず、さらに手数料が高いことなどを理由に、18.7%が銀行以外のサービスを利用しているなどと述べ、こういった人々が経済や銀行システムにアクセスできるようにすることの方が重要であると伝えている。

またマイノリティが経営していたり、規模の小さな金融機関は、最近では特にコロナ禍で預金においても危機に直面していると指摘し、こういった金融機関が仮想通貨の預金を受け付けられるようにすれば救済につながるとも主張。仮想通貨を否定しているわけではなく、より困っている人々を助けることの重要性を説いている。

書面では明確に、新型コロナの感染が増加している現状において、OCCが適切に優先順位をつけて業務を行なっているのかも問いただしている。現在はまだ給付金を受けて取れていない国民が大勢いると主張し、OCCは通貨の安定を提供する立場であるのに、業務の範囲を超えているとも指摘した。

「OCCはステーブルコインの発行体にどのような顧客保護を要求するのか?」、「民間で発行されるデジタル通貨が決済利用で普及した場合、ドルの概念をどう保護するのか?」、「OCCの決定について他の規制当局とどのくらい協業しているのか?」など、8つの質問に12月10日までに回答するように依頼して書面は結ばれている。この書面には議員6名の署名がある

弁護士の見解

今回の書簡の内容を受けて、仮想通貨・ブロックチェーン業界の弁護士がコメントしている。

Collins Belton氏はコロナ禍で世界が打撃を受けている時に、OCCが仮想通貨に特化して活動していることに疑問を感じるとコメント。米議員が仮想通貨に対する規制を厳しくする可能性はあるが、今回の件がその一環であるかは分からないとしている。

Jake Chervinsky氏はOCCについて、「議員でもなく選挙で選ばれていない人々が、ガイダンスを通して法律のようにルールを決めることにずっと疑問を持っている」と主張。たとえ仮想通貨に肯定的なガイダンスであっても、この信念に変わりはないと述べた。

参考:書簡

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