IEOとデジタル資産カストディは登録が必要に
マレーシア証券委員会(SC)が、暗号資産(仮想通貨)を含むデジタル資産に関するガイドラインを改訂、イニシャル・エクスチェンジ・オファリング(IEO)とデジタル資産カストディアン(DAC)についての規制を定めたことが分かった。
新ガイドラインの下では、IEOプラットフォームの運営者は、トークン発行者に対して、必要なデューデリジェンス(価値やリスクの評価)を実施し、ホワイトペーパーでトークン発行者の提案を確認、また資金洗浄・テロ資金調達対策のガイドラインを遵守する能力を査定することになる。
SCは改訂の目的について「デジタル資産分野において信頼できるイノベーションを促進すること」と、「新たな種類のリスクを管理し、トークン発行者と投資家の利益を保護すること」があると説明している。
1月にマレーシア規制当局は、企業が、SCに登録されたIEOプラットフォームを通じてデジタルトークンを発行して資金調達するためのフレームワークを発表していた。
IEOとは
IEOは、発行元がトークンを直接販売するICO(イニシャル・コイン・オファリング)とは異なり、トークン販売が取引所に委託されるもの。取引所が発行元やトークンについて厳密な審査を行った上で実施するため、プロジェクトの信頼性がより客観的に評価されるというメリットがある。
未登録営業には法的罰則も
新ガイドラインには、デジタル資産のカストディ・サービスを提供する組織のための規則や規制も含まれている。
当局は、投資家の資産を保護するというDACの役割が、マレーシアのデジタル資産エコシステム内で重要であると指摘。IEOプラットフォームの運営者またはデジタル資産カストディ企業として登録を希望する場合、申請期限は2021年2月15日になる。
また、このガイドラインには罰則も設定されており、SCの許可なしに仮想通貨取引所を運営、あるいは仮想通貨を提供・配布していることが判明した者は、有罪判決を受けて「1000万リンギット(約2.5億円)以下の罰金または10年以下の懲役、あるいはその両方 」を負うことになる可能性があるという。
SCは7月、当局未承認の企業のリストに、大手仮想通貨取引所バイナンスや、オンライン投資プラットフォームeToro、その他海外仮想通貨関連投資企業を追加し、こうした当局が認可していない企業を利用しないよう勧告していたところだ。
イスラム金融で仮想通貨認可の先鞭
イスラム教徒の多いマレーシアでは、イスラム法(シャリア)に則って金融領域を監督するシャリア・アドバイザリー評議会が設置されており、今年7月には仮想通貨を含むデジタル資産の取引を容認する方針を示している。
「原則として、認可済みのデジタル資産取引所での取引を許可する方針」が決定し、デジタル資産分野が大きく発展するきっかけになるとされた。
仮想通貨は、これまでイスラム法での位置づけが定まっておらず、イスラム世界での利用率は著しく低かった。
イスラム教国のシャリア関連当局が、今後マレーシアの事例を踏まえて仮想通貨取引を認可する可能性もあり、今後の行方が注目される。
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