AIイベントで講演
平井卓也デジタル改革・IT担当大臣は、日経新聞のカンファレンス「AI/SUM TRAN/SUM」に登壇し、新設が予定される「デジタル庁」のミッションについて抱負を語った。
平井大臣は「デジタル庁のミッションとは」と題されたセッションの中で、COVID-19(新型コロナ)は歴史の大きな転換点となった。日本にとって、今回は「デジタル敗戦だった」と表現した。
過去に投資してきた既存のインフラやIT政策が、コロナ禍において国民の期待に応えることが出来なかった。
デジタル敗戦について思うこととして平井大臣は、「アメリカ・中国と比べ、携帯の通信カバーエリアなどインフラ面は決して劣っていないはずだ。」と言及。大国に見劣りしないインフラ構築は、IT基本法の目標であったという。
では、その目標は達成できているのに、なぜコロナ禍でパフォーマンスが悪かったのかという点についての自省について、「全てが中途半端になっていた」と、厳しい見解を示した。
具体的には、デジタル化したサービスを一部でしか使えなかったことや、最後までデジタルで完結していないといった課題点を列挙した。
急を要する「特別定額給付金(コロナ給付金)」の事例では、オンライン申請対応が自治体によって異なるなど行政の混乱と遅延を招き、まさしく中途半端な状態が明るみに出たといえる。
デジタルを意識しないデジタル社会へ
平井大臣が掲げる最終目標は、「デジタルというものを意識しないデジタル社会」だ。少子高齢化が懸念される日本のデジタル社会として、「誰も取り残されない」ことを重視すると表明した。その文脈で、IT基本法の改正などについて議論するワーキンググループの中には、80歳を超えてアプリ開発者となった若宮正子氏も参加しているという。
ヒトを大切にする「デジタル社会」をどのように作っていくのかということに挑戦すべき。これから先、高齢化を迎える世界の国々にとっても目指すべきモデルケースとなり得ると考えている。
来年の通常国会においてIT基本法の抜本的な改正案を打ちだし、なぜデジタル化が必要なのかについて改革案という形で一般の方々に示すとしている。
デジタル庁とブロックチェーン
ブロックチェーンを行政に導入することを巡っては、様々な議論が行われており、総務省でもワーキンググループが過去に設けられている。先日、bitFlyerBlockchainの加納裕三氏は、平井大臣を表敬訪問し、「ブロックチェーンを国家戦略に。」とアピールした。
具体的な提案の一つが、行政システムにブロックチェーンを利活用するものだ。これはブロックチェーンによって行政システムの一元化を行い、各省庁の担当するマイナンバーや運転免許証、住民票といったデータを繋げること、その実現のためにブロックチェーンが有用であるといった内容になっている。
このほかにもブロックチェーンには単一障害点が無く、大規模な災害などに強いといった指摘もある。ブロックチェーンに関わらず、今までの行政の常識にとらわれない、スタートアップのような新組織を目指す「デジタル庁」に、国民の期待が寄せられている。
参考:AI/SUM
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