スペイン中銀:CBDCを研究の重点に
スペインの中央銀行が今後数年間で優先する研究課題を発表、その中にデジタル通貨(CBDC)も対象として含まれていることが分かった。
スペイン銀行は、2024年までに重点を置く研究分野として「中央銀行の政策とその相互作用」、「スペイン経済の長期トレンド」、「国際的環境から生じるリスクと機会」、「個人や企業の性質が不均一であることがもたらす帰結」、「新しい技術と情報」という5つの分野を掲げた。
デジタル通貨については「新しい技術と情報」というテーマの中に含まれている。
「経済と社会のデジタル化と技術の進歩がもたらす新たな可能性は、金融セクターとスペイン銀行の機能にとって重要な課題を示す」、とスペイン銀行は研究課題を説明する文書で述べている。
また、こうした技術を使用することで、決済手段など、中央銀行が提供するサービスを向上させることや、デジタル通貨の導入が可能になるとしている。
2020年から2021年にかけての研究の重点には、デジタル通貨(CBDC)の導入が金融システムと経済全体に与える影響について様々な設計案を検討することがあり、デジタル形式での身元認証に関する側面も分析するという。
CBDCの他には、機械学習と人工知能の活用を評価するためのフレームワーク開発や、金融セクターが普及している先端技術を使用することの意義、利点、リスクを分析することなども挙げられていた。
デジタル化全般は、スペイン銀行の優先戦略目標の一つに掲げられている。
欧州中央銀行も本格的な調査を開始
スペインは欧州連合(EU)に所属しているため、単独でCBDCの検討や開発を行うことはなく、欧州中央銀行と協調してプロジェクトを進めていくと考えられる。
欧州中央銀行(ECB)は、ユーロ圏で発行するCBDC「デジタル・ユーロ」についての取り組みを加速させている。10月2日にCBDCについての報告書を発表、2021年中までにデジタル・ユーロについて本格的な調査を開始し、方針を示す可能性があるとした。
パブリックコメントや商標登録も
「デジタルユーロ」に関して、パブリックコメントも募集開始。どのような機能を重視するのか等について、一般から広く意見を募っている。
質問は一般的なユーザー向けと、金融の専門家向けのパートに分かれており、前者では、決済情報を非公開にするか、スマートフォンなどの携帯端末から使いたいかなどの項目があった。
専門家向けの質問では、資金洗浄対策(AML)や規制、デジタルユーロによって可能となる金融サービスなどについて問われている。
また、ECBは9月22日付でEU知的財産庁に「デジタル・ユーロ」というサービスの商標登録の申請を行っている。
申請情報によると、特許の分野としては「トークンの売買、管理などを可能にするコンピューターシステム」、「クレジットカードサービス」、「電子商取引の分野におけるユーザー認証サービス」などが選択されており、CBDC構想の一端を窺わせる。
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