未登録有価証券問題が合意
暗号資産(仮想通貨)を担保にしたレンディングサービスを提供するSalt Blockchainは30日付けで、同社の未登録有価証券問題について、米証券取引委員会(SEC)と合意に至ったと発表した。
2017年から2019年にかけ、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)とメンバーシップトークンセールで仮想通貨SALTを販売。これが未登録有価証券の販売にあたるとSECから指摘を受けていた。同社は罰金を支払い、投資家からの返金要請にも応じる。
Salt Blockchainの以前は社名はSalt Lending Holdings。仮想通貨SALTは「Secured Automated Lending Technology」の略で、仮想通貨を担保に法定通貨を貸し借りできるサービスを考案する中で誕生した。
同社は2017年6月にICOを開始し、同年12月までに4700万ドル(約50億円)を調達。ICOの後にもSALTの販売を行い、120万ドル(約1億2700万円)を調達したという。
この際、有価証券届出書を提出しておらず、登録の免除も受けていなかった。2018年にはすでに、当時のICOが未登録証券の販売にあたるか、また調達した資金をどのように使ったかを調べるため、SECはSalt Blockchainに対し調査協力を求めていたと報じられている。今回支払う罰金の額は25万ドル(約2600万円)だ。
レギュレーションDを適用
また一方で、SECがSALTに対し証券法のレギュレーションDを適用することも明らかになった。
「レギュレーションD」とは
米国内における全ての有価証券の募集と販売は、登録義務が免除されていないかぎりSECに登録する必要があるが、登録の費用は高額で、時間もかかる。レギュレーションDとは、資金調達を考える会社が利用する登録義務の免除規定で、多くのベンチャーキャピタルの資金調達に使われている。
規定を守れば発行体はフォームDと呼ばれる書類をSECに提出するだけで、有価証券の私募と販売を行う事ができる。
Salt Blockchainは資金調達において、規定を守れば有価証券登録は免除されることになるが、今後のために改めてSALTの有価証券登録を行うとしている。
また今回の発表で「SECとの協議の間にも企業は成長したし、ICOの投資家に説明したレンディングに関する事業や技術も実現可能であることが分かった。今後は資産の運用や保護などに特化したサービスを拡充していく」とした。
仮想通貨SALTの価格は30日に急騰。今回の発表が価格上昇の要因になった可能性がある。
参考資料 : Salt Blockchain
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