GMOコイン インタビュー
国内大手暗号資産(仮想通貨)取引所「GMOコイン」の石村富隆社長にインタビューを実施。アルトコイン取り扱いで重視するポイントや今後の展望について伺った。
東証一部上場企業GMOインターネットのグループ会社であるGMOコインは、2017年9月に暗号資産交換業者として登録された。
ー今の暗号資産市場をどう受け止めているか
一つは、コロナ禍でご自宅にいらっしゃる方が、暗号資産市場に関心がいったのかなということがあります。
そうしたタイミングで、ビットコインの半減期だったりとかでボラティリティ(価格変動性)が高くなって、これまで取引されていなかった方も暗号資産を知るきっかけ、始めるきっかけに繋がったのではないかと思います。
実際、新型コロナ感染拡大の影響で各社が「在宅勤務」へと方針転換するなか、新規口座の申し込み数が増えてきましたが、コロナがどうこうよりも、単純に「(通勤時間削減などで)時間ができた」というところはあるのかなと思いますね。
投資家的に見たとしても最近の相場は面白く、取引機会の多いマーケットになってるのではないかと思います。
ー5月施行の暗号資産関連法案改正の影響は
金融商品取引法の改正でレバレッジ(証拠金)取引が対象になったりして、一言で言えば規制は厳しくなっています。逆にビジネス環境として規制が入ったことで、しっかりと厳格になってきているということも言えます。
まさにマーケット的に成長するため「避けては通れない道」かなと思っています。
規制に耐えうる経営体制などを真摯に整えていくということで、我々としても社内体制を強化し、お客様によりご安心頂けるような土台作りは、規制強化によって出来てきているのではないかと思っています。
厳格になった分、やはり一定の参入障壁はあるかと思うので、誰もができるビジネスでは無くなってきています。良くも悪くも、我々にとっては既にビジネスを始めていますので、参入障壁があることは良い点でもあるのかなと思います。
しかしながら、なかなかマーケットに入ってこられないという意味では、マーケット全体の発展としては、代り映えしにくいと感じる部分もあります。競合他社と切磋琢磨していかなければ、サービスもより良くなっていかないと思いますので。
一方で、暗号資産のマーケットは動きがすごく早い。そのスピード感をしっかり守っていくということと、法令の中でやっていくというところのバランスというのがなかなか難しいところがあって行政側も業者側も意識しながらやっていく必要があるのではないかなと思います。
そこが日本のマーケットの発展という意味では、いい塩梅で成長していくような行政であり、業者であることが必要かと思います。
ーそのような中、どのような特色を出していくか
我々は、我々自身としても親会社のGMOフィナンシャルホールディングスのポリシーとしても、「金融商品をリーズナブルに提供していく」というところが根底にありますので、そこはしっかり守ってやりたいと思います。常に最もリーズナブルなプライシングを心がけてますし、今後もその方針に変わりはありません。
規制はもちろん、お客様の資産を安全に守りながら、ビジネス的にも発展させていきたいという風に思っています。
ー新たな暗号資産の上場、重視するポイントは
我々がアルトコインを取り扱い開始する時、ある程度マーケットのボリュームがあるかどうかを重要視しています。流動性がないものを提供すると、最終的にお客様にご迷惑をおかけしてしまいかねないと考えているためです。
当然、法規制や審査があって、どんどん新たな銘柄の提供を開始するわけにもいかないですが、今後も着実に「取り扱い銘柄」を増やしていきたいとは思っています。投資家の皆さんの投資先のチョイスを増やしていけるようなことをしていきたいですね。
ユーティリティトークンに関しては、なかなかユーティリティがあるもの自体がないので目利きも難しいですが、プロジェクト的には「IEO」などでユーティリティトークンを広めるというようなところにもチャレンジしたいとは考えています。
我々は暗号資産取引業者ですので、いわゆる暗号資産マーケットでしか出来ないようなところにもチャレンジしたいなとは思っています。
もちろん規制面の兼ね合いなどもあり、色々とハードルは高いので、どちらかというと中長期的に取り組みたい。直近でいうと、まずは取引所として取り扱う銘柄の選択肢を増やすというところに注力をしていきたいですね。
ー口座開設数が順調に伸びている、ユーザーの傾向は
ユーザー属性的にいうと、これまでの年齢層は以前と同じで、同じような割合で全体的に増えています。女性より男性の割合が高いようです。我々だけでなくて、競合の会社さんが色々な取り組みをされていて、徐々に人気が広がっているのもあると思います。
社会的にはまだこれからだと思いますけれども、「信頼性」というか、選んでいただける一つの投資対象物としての見方はある程度広がってきたのではないかと思っています。業界全体でやっている取り組み自体が、底上げにもつながっているのかなという風に思います。
ー国内IEOの取り組みについては
我々は「ライセンス」をもってやっているという意味では、きちんとした金融商品しか扱えないというのが大本にあります。前提として、IEOを扱うものの評価のほか、取り扱い方や販売方法など、備えるべきことは多いかなと考えています。
取引所でIEO銘柄を上場するとなると、「GMOコインが認めたから大丈夫」と(ある種盲目的に)思われかねないわけで、きちんと選別してお届けする責任があり、その分責任も大きくやるべき事も多岐に渡ると考えています。
とはいえ、せっかくこれだけの暗号資産マーケットが育ち始めていて、そこでしか出来ないことにもチャレンジしていきたいし、将来的には対応していきたいと考えています。一つ実績を作れれば、今後にも繋がっていくのかなと思います。
ーGMOコインの今後の取り組みについて
今年一年間は、より多くのお客様を受け入れられるようにしたいと考えています。今現在は、個人のお客様を対象にサービスしていますが、今後一年間で法人のお客様も受け入れられるようにしていきたいですね。
あとは、新たな銘柄を増やすことによって、これまで海外でしか取引が出来なかったような銘柄を日本でも取引できるようにするという点にも注力したいです。その一方で、IEO等のチャレンジも検討していきたいと考えています。
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