ロンドン証券取引所で約55億円の上場へ
ビットコイン決済アプリ「Mode(モード)」を提供するフィンテック企業Mode Bankingが、英国で証券取引所上場を目指していることが分かった。
同社は、英ロンドン証券取引所(LSE)へ上場し、5200万ドル(約55億円)の資金調達を目論んでいるとされる、上場に先立ち、プライベート・エクイティの売却から1000万ドルの調達を考えているという。
Mode創業者ジョナサン・ローランドは、LSEへの上場計画について、フィンテック分野で同社の存在感を拡大するための第一歩であると述べた。
Modeは、Revolutなどのような決済サービスに挑戦する一方で、アリペイのような多方向のフィンテックサービスの成功からも見習いたいという。
英国発のレボリュート(Revolut)はデビットカード発行や送金、給与受け取りなど銀行と同様のサービスをスマートフォンのみで行えるモバイルバンキングサービスで、仮想通貨も取り扱っている。
アリペイに関してModeは、中国の決済大手WeChat Payと共に提携済で、元アリペイ幹部のリタ・リューを運営戦略と商業的パートナーシップ分野のリーダーとして採用している。
「ビットコイン銀行」を名乗るMode
Modeは以前からビットコインの購入とウォレットアプリ機能の提供を行なっていたが、今年春より新たに金利サービスを導入して「ビットコイン銀行」と銘打つようになった。
ビットコインを預けることで、年利で5%の利子を得ることができるもので、入出金手数料は無料である。
顧客資産はカストディアルプロバイダーのBitGoが保有しており、保険市場ロイズ・オブ・ロンドンを通じて最大1億ドルの保険に加入済だ。
「ビットコイン銀行」とは自称であり、実際にModeが銀行免許を申請しているわけではない。しかし、Modeは電子決済事業者のライセンスは取得している。
最近、英国金融行動監督庁(FCA)から送金事業運営の許可を得た仮想通貨バンクにはZigluも存在しており、Modeと競合しそうだ。
Zigluは仮想通貨の売買、仮想通貨や法定通貨の送金が気軽にできるアプリで、サイバー攻撃による顧客資産の損失に対して5万ポンド(約700万円)の保険も用意している。
規制強化下で成長する新たなバンキングサービス
英国ではFCAが今年1月から仮想通貨関連企業への規制を強化している。
要件として、関連事業者には次のような義務が求められるようになった。
・マネーロンダリングとテロ資金調達のリスクの特定と評価。
・リスクを軽減するためのポリシー実装。
・顧客に対するデューデリジェンスの実施。
また、FCAの規制対象に該当する既存の企業に、2021年1月までの登録を義務付けた。
しかし、規制が強化される中、法定通貨と仮想通貨両方を取扱い、スマホアプリのみでサービスを仕える新たなスタイルのバンキングサービスは好調である。
先述のレボリュートは、2015年にロンドンで設立され、現在欧州や英国を中心に、1000万人超の顧客を抱えるまでに成長した。これまでの過去数年で同社は計8億3600万ドル(約890億円)の資金調達に成功。
今年日本にも上陸しており、手数料の低い海外送金サービスや、外貨両替サービスを提供中だ。
またクレジットカード大手のVISAやマスターカードと提携しており、デビットカードによる決済も行える。
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