Galaxusがデジタルスイスフラン決済の導入計画
スイス最大級のeコマースサイトGalaxusがステーブルコインによる決済テストに成功、プラットフォームへの実導入を計画している。
ステーブルコインは、デジタル資産に特化した銀行Sygnumが発行するスイスの法定通貨と1対1でペッグされたデジタルスイスフラン(DCHF)を使用。決済プラットフォームはブロックチェーン金融サービス企業Conifyが提供する。
公式アナウンスでは、デジタルスイスフランによる決済で次のようなメリットがあり、ブロックチェーン上の決済システムは、eコマース業界に革命をもたらし、消費者とオンライン小売業者を直接的に結びつける可能性を秘めているとした。
- 仲介者が不要となり、リアルタイムでトランザクションを行うことができる。
- 法定通貨とペッグされていることで価値が安定している。
- クレジットカードが不要となり、詐欺や不正使用の発生を抑制。
- ユーザーの操作をシンプルにして手続きを高速化する。
- オンライン小売業者のコストを削減。
GalaxusのCFO(最高財務責任者)であるThomas Fugmannは、「Galaxusは、2019年の初めに決済手段としてデジタル通貨を受け入れ、eコマースの先駆者としての地位を強化した。スイスとリヒテンシュタインのユーザーがDCHFのような安定したデジタル通貨によりオンラインストアで支払いを行えるようにすると、利便性がさらに高まる」とコメントしている。
昨年より仮想通貨決済を開始
Galaxusは昨年より、ビットコインやイーサリアム、XRPを始めとする主要仮想通貨での決済の受付開始している。
2万2千円以上の購入を行うユーザーが支払い手段として「Cryptocurrencies(仮想通貨)」のオプションを選択すると、15分の間有効なレートが表示される仕組みだ。
現在までの状況では、Galaxusの年間売上高が10億スイスフランを超える中、仮想通貨決済による売上は約100万スイスフラン(約1億円)に留まっているという。
新たに今回決済への導入が考えられているDCHFはビットコインなどの仮想通貨よりもボラティリティが少ない点に利便性がある。
このステーブルコインを発行するSygnumは当局より規制を受けている銀行で、クライアントアカウントで生成する、すべてのDCHFについてスイス国立銀行でスイスフランを担保として保有している。
DCHFは、株式や不動産などの資産をブロックチェーン上でデジタル化し、取引や即時送信できるようにすることにも役立つ。
今のところ、DCHFがGalaxusで決済に使えるようになる時期については明らかにされていない。
「クリプトバレー」を擁するスイス
スイスは仮想通貨・ブロックチェーン産業についてかなり積極的な国である。
特にブロックチェーン産業の中心で「クリプトバレー」とも呼ばれるツークでは、税金の支払いをビットコイン(BTC)で行うことも可能。同国の証券取引所SIXは、様々な資産をトークン化して上場させており、「暗号資産ETF」などのサービスも展開している。
また、EUに加入していないことにより独自規制を維持しており、他の欧州諸国と比較して法人税が低いメリットもベンチャー立ち上げを支援する。
こうしたことが仮想通貨業界にも魅力となっており、イーサリアム財団、カルダノ財団、テゾス財団、リスク、ディフィニティー、中国暗号通貨マイニング大手のビットメイン等が拠点を構えている。