ビットコイン先物、大口建玉保有者が過去最高水準にCME(米シカゴ・マーカンタイル取引所)で大口建玉保有者が66人と過去最高を記録したことが、米規制当局CFTCのデータで明らかになった。
CFTCのCOTレポートによると、ビットコイン先物を取引するヘッジファンドのロング建玉は、最新データの5日時点で1億5000万ドルを超え、8ヶ月ぶりの高水準を記録した。25BTCを超える先物ポジションを保有するトレーダーの数が66人と過去最高を記録している。
5月には、著名投資家Paul Tudor Jonesが率いるBVIグローバルファンド(Tudor BVI Global Fund)が、中央銀行の通貨発行によるインフレリスクをヘッジする手段として、ビットコイン先物の取引を検討すると発表するなど、仮想通貨市場を取り巻くプレイヤーにも変化が見られ始めている。CMEの大口建玉保有者推移の変化にも、コロナ危機に伴い変化する経済状況でビットコインに注目する見方の変化が現れているかもしれない。
ビットコイン先物、変わるプレイヤー
CMEのビットコイン先物の需要は2020年にかけて上昇傾向を維持してきた。
CMEの第1四半期レポート(1月〜3月)では、新規に567口座がビットコイン先物取引を開始。前四半期比で新規の取引口座数が2倍水準に達した。
実際にビットコイン先物の取引に言及している著名ヘッジファンドは、BVIグローバルファンドだけではない。
ジェームズ・シモンズ氏率いる世界で最も名の知られたヘッジファンドの1つであるルネッサンス・テクノロジーズもその一社だ。
3月末に規制当局へ提出した書類の中に同社の旗艦ファンドである、メダリオンファンドについて「ビットコイン先物取引に参加することを許可した」と記載。CMEでの取引に限定するとした上で、ビットコイン先物の取引許可を出した。
The Blockのまとめたデータによると、ヘッジファンドからのロング建玉の推移は4月に年初来高水準を記録している。5月5日時点では、1億5000万ドル相当に上る。
ヘッジファンドとは
ヘッジファンドは、市場全体(株価指数)の上昇と下落に関わらず、プラス収益(絶対収益追求型)を目指すファンドのこと。先物取引や金融工学を駆使した運用などで、リスクを管理しつつも、積極的な姿勢で収益化を図るため、運用の自由度も高い。
相対収益を追求する投資信託とは異なり、ファンドに資金を投じる投資家は、相場の大局を読む必要がない。(ファンドマネージャーが下げ相場でも利益を追求するため)ヘッジファンドの対象投資家には、富裕層、年金基金、機関投資家などがいる。
ビットコイン先物が注目された一つの理由には、コロナ危機に伴う通貨のインフレヘッジの要素などがある。これまでゴールドなどでヘッジしていた傾向があるが、新たな安全資産としての需要の高まりを示す傾向として注目される。