大きなマイルストーンに
ステーブルコインの一つであるテザー(USDT)の直近の平均送金額が、ビットコインの送金額を上回ったことが確認された。
CoinMetricsがレポートで明らかにした。
テザーの7日間平均の調整済み送金額は35億5000万ドル(およそ3800億円)となり、ビットコインの29億4000万ドルを上回った。
レポートでは、DeFiの人気の高まりと共に利便性の高いステーブルコインの利用が増加しているとの考察が加えられている。
取引所BitfinexのCTOを務めるPaolo Ardonio氏は、ツイッター上で、「2020年はテザーに年となる」としてテザーの時価総額が200億ドルを突破するとの見方を示した。
2020, the year of Tether.
The road to 20B+ and beyond. https://t.co/wiacp4RkeB— Paolo Ardoino (@paoloardoino) August 24, 2020
2020年、テザーの勢いを振り返る
それまでも勢いよく発行額を増加させていたテザーは、今年5月には時価総額3位に位置していたXRPを抜かしたことも報じられた。
テザーがイーサリアムの時価総額を超えるのは時間の問題との見方 も出ている。
今月15日、テザーの時価総額は120億ドルを突破した。テザーの時価総額は、3月の50億ドルから140%拡大していることになる。
CoinMetricsによると、テザーを含むステーブルコインが時価総額60億になるのに要した期間は5年であり、その2倍である120億ドルに達するのに要した時間は僅か4か月である。
DeFi(分散型金融)とテザーは共にその成長を支えあってきた存在だ。今月の24日、分散型金融取引所Uniswapの過去30日間におけるイーサリアム(ETH)ガス消費量が、USDT(テザー)を上回っていることがわかった。
なお、テザーはイーサリアムブロックチェーン以外でも複数のチェーンでテザーを発行している。
参考:CoinMetrics
USDTがDeFiの準備通貨に
BitfinexのCTOを務めるPaolo ArdoinoはCoinPostの取材に応じて、USDTのDeFiにおける立ち位置について意見を語った。
Ardoinoによると、ビジネスのセトルメントやトランザクション、記録などのためにDeFiには信頼のできるペイメント媒体が必要で、USDTのような流動性の高い仮想通貨はDeFiという新興金融システムにとって必要不可欠な存在だという。「120億ドル以上の時価総額を持つUSDTはマーケットリーダーで、DeFiセクターで中心的役割を担っている」と強調した。
上述のUniswapの事例で示されたように、USDTの利用率が高い。USDTを取り入れているDeFiプラットフォームも以前より増えてきている。Ardoinoはこの点について、「多くのDeFiプロジェクトはUSDTの利用を取り込み続けている。我々としては、USDTがDeFiの準備通貨になることを目指している」、と期待感を寄せた。
ERC20版USDTの増加について
さらに、USDTのイーサリアム版の発行増加についてもArdoinoは見解を述べた。USDTは、ERC20やOmni版のほか、TRC20など複数のブロックチェーンを利用し発行を行なっているが、直近では他のブロックチェーンからイーサリアムブロックチェーンに移行する傾向が確認されている。
この傾向に関して、Ardoinoはこのように話した。
ヘッジファンドやアービトラージを専門とするトレーダーから、USDTの新規発行の要望が増えている。
実際、取引所に送金するまでのプロセスでは、新規発行のUSDTはTRC20版が主だが、取引所がその一部をERC20版に変換することもある。
また、USDTの「在庫補充」という動きもよく見られるが、このプロセスについて、Ardoinoはこのように説明した。
在庫補充とは、実資産に裏付けられていないUSDTだ。しかしこれらのUSDTは正式に発行されているわけではない。
実資産に裏付けられると、それらのUSDTは新規発行の準備が整えられるということになる。流通するUSDTが市場による需要に対応できないと、在庫補充(未発行)のUSDTは増える傾向となる。
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