アフターコロナで「勝つ脳」「負ける脳」

身体の免疫系は、生まれたときから「無菌状態」だとさまざまな異物、病原体を学習する機会を失う。だから、ある程度はさまざまな環境にさらされたほうがよいと言われる。

コロナ禍への対策として、インターネットを介した「サイバー卒業式」を執り行う大学もみられた。

AP/アフロ=写真

コロナ禍への対策として、インターネットを介した「サイバー卒業式」を執り行う大学もみられた。

人間の脳も同じで、身体と同じように「情報」のレベルでの「免疫系」の作用がある。いろいろな経験をしないと、学習することができない。

身体の免疫が「自己」と「他者」を区別するように、脳の回路も「自己」と「他者」を区別する。そして、自分のこれまでのあり方を守ろうとする。

過去の成功体験にとらわれて、新しい価値観を取り入れることができないのは、典型的な脳の「免疫系」の働きである。せっかく自分を変える、そして新しいものを創造するチャンスがあるのに、それを活かすことができない。それではもったいない。

偶然の幸運に出合う「セレンディピティ」も、脳の「免疫系」が働きすぎると活かすことができない。セレンディピティのためには、まずは行動し、それから気づき、最後に受け入れることが大切である。これまでの自分を守ろうとする傾向が強すぎると、新しい価値観を受け入れることができずに、せっかくのチャンスを逃してしまう。