中小企業に最大200万円が給付されるという「持続化給付金事務事業」のあり方に注目が集まっている。どこに問題があるのか。元経産省職員の高辻成彦氏は「国が協議会方式を採るには3つの理由がある。そして、そこには5つの問題点がある」という――。
経済産業省総合庁舎(東京都千代田区霞が関)

写真=時事通信フォト
経済産業省総合庁舎(東京都千代田区霞が関)

経産省が“協議会”に事業委託する3つの理由

中小企業に最大200万円が給付されるという「持続化給付金事務事業」のあり方に注目が集まっている。6月8日には、一般社団法人サービスデザイン推進協議会と電通による記者会見が行われた。

そこでは「協議会方式」による国の事業実施の是非が問われた。そもそも、なぜ国の事業が協議会方式で進められてきたのか。筆者は、経済産業省の職員だった経験から、国が協議会方式を採るのには以下の3つの理由があると考える。

1)経済産業省が得意とするスキームである

経済産業省は、新規事業を打ち出す際に、中立的組織を立ち上げ、中立的組織を扇の要として事業を実施するスキームを採用することがよくある。理由としては、既存組織ではしがらみからうまく動かなかったり、特定企業へ偏った利益誘導をしている疑いを避けたりするためである。

2)新規事業の実績としてPRしやすい

特定企業に事業を任せた場合、特定企業の実績となる。しかし、中立的組織として事業を行った場合、中立的組織の実績となる。中立的組織の実績は、これまでにない組織を立ち上げた経済産業省の実績となる。従って、経済産業省としては実績としてPRしやすい。

3)複数の企業を巻き込むことができる

特定企業に事業を任せた場合、特定企業の競合は事業の協力に応じなかったり、企業間のトラブルが生じたりするリスクがある。しかし、中立的組織の場合、イメージの色が付いていないだけに、国の事業という点を前面に出して企業を説得しやすい。